市内で障害者支援施設などを運営する社会福祉法人「翔の会」(芹沢)。同法人が運営する「鬼瓦味噌蔵」(高田)では、就労支援としては全国で唯一、オリジナル味噌と自家焙煎コーヒーを製造している。県外からも視察が訪れるという施設の取り組みを取材した。
12月から3月にかけてが、鬼瓦味噌蔵の味噌仕込みの季節だ。
現在製造している味噌は米麹、麦麹の2種類。ともに原材料はすべて国産を使用している。茹でた大豆を機械でつぶし、麹と塩を混ぜて約30分間以上、手でこね続ける。力と根気のいる作業。同施設の開所から味噌作りを見続けている、生活支援員の山本朝子(ともこ)さんは「根気強く、丁寧にやる作業が向いている方も多い。皆真剣に臨んでくれる」と話す。
まとまりが出てきたら、団子状にまとめ、専用の熟成容器に空気を抜きながら詰め、最後に重石を乗せ、約1年間寝かせて完成だ。寝かせる期間も、湿度や気温、天候を見ながら発酵具合を調整する。山本さんは「いろいろと試行錯誤しましたが、国産品と手作りが一番ということに落ち着いた。自慢の味です」と笑顔を見せる。
オリジナル製品で付加価値も追及
翔の会が法人化後、初の施設として1997年に開所した湘南鬼瓦。「鬼瓦味噌蔵」は、利用者が増加する中で、作業に慣れた利用者らを中心とした新たな作業の場として2011年に開所した。
同施設職員の志賀谷弥一郎さんは「就労支援では、ペンの組み立てなどの軽作業、パンや菓子類の製造を行っているところが多い。ほかと差別化を図ることで商品の付加価値も付けられるという意見をきっかけに、味噌とコーヒーに行き着いたようです」と説明する。
味噌は、後援会の保護者らが製造していた品を引き継いだもの。コーヒーは、九州で焙煎などを作業に取り入れている施設へ赴き、ノウハウを得た上で、生豆の仕入れから焙煎、パッケージして販売するまでの全工程を施設内で確立させた。近年では、同法人で生産している野菜を使ったピクルスも製造販売している。
販売方法も、同施設のほか、同法人の運営している他施設など「顔の見える場所にこだわっている」と志賀谷さん。「『一度味わうと市販品には戻れない』とおっしゃる方も。期待を裏切らない味と品質を今後も届けたい」
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