布の端切れも無駄にしない「もったいない」の精神から生まれた手仕事の技―。5月26日に浜見平で初開催された着物地リメイク作品の展示会と、秘められた思いを取材した。
商業施設の展示スペースに並んだ色とりどりの着物地を生かしたフォーマルウェアやブラウス。長らく作り手と家族のみが着用していた物を手作りのハンガーに吊るすと、さながら新作展示会のよう。300人以上が来場し、日の目を見た洋服たちはどこかうれしそうにも見える。
作り手は中島在住の神保マツ子さん(90)と藤間ハルエさん(85)。2人は「物が無かった戦時中から『どんな物も大切に』と教えられて作ってきたもの。見た人が喜び、作り方を聞かれて驚いた」と笑顔を見せる。
会場には、手芸サークル「結(ゆい)」が手掛けた着物地の小物も並び、代表で柳島在住の原科陽子さん(71)らが手際よく、来場者にお手玉作りを教えていく。母親と訪れ、手芸を体験した円蔵在住の谷口桃華さん(11)は「学校の授業はミシンが多いので、手作りは楽しい」と丁寧に針を進めた。
「かけがえのない物」を紹介
きっかけは、催しを主催したNPO法人まちづくりスポット茅ヶ崎の代表理事で、円蔵在住の益永律子さん(69)の経験。6年前、母親を亡くした後にきれいにしまってある着物を見つけて「生前に周りの人が知ってもっと大切にできていたら。心苦しかった」。同じように家に眠らせている物に光を当てたいと考えるようになった。
その後、神保さんと藤間さんに出会い、「結」の活動に触れ思いを強くした益永さん。さらに、地域の子育て世代がハンドメイド作家として展示・販売を行い活躍している姿を見て、「その反面、80〜90代の女性たちは素晴らしい技を持っているにも関わらず家庭の中にとどめているのでは」と感じたことで展示を企画した。今後も「地域の様々な人が暮らしの中で育んだ、かけがえのない手仕事を紹介したい」と活動を広げていくという。
作品の一部は、6月8日(金)から15日(金)までCAFE POE(浜見平11の1)に展示される。
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