茅ヶ崎美術家協会の会長を務める 渡辺 征雄さん 75歳
変革と発展のキーパーソン
○…「制作と同じで活動には熱が必要だと思うんだ」。一言一言に熱を込める。会結成から45年、今春新たに就任した大磯在住の会長は、市外から初の抜擢だった。会との関係は長く、1971年に茅ヶ崎の青少年会館立ち上げに尽力していた際に「茅ヶ崎美術クラブ」の存在と休止状態を知り、復活に奔走。以後、裏方で同会の発展に尽くして来た。今回の就任には、会の変革と発展のキーパーソンとして期待する声が上がっている。
○…多摩美術大学を卒業し、県内各地の学校で教鞭をとる傍ら、油彩画を続けてきた。生徒が0人だった授業の時も、“育て導く”という教育の原点を求め養護教育の現場に飛び込んだ時も、絵を描いている時は無心になれた。これまで幾何学モチーフの完全抽象画を主にしてきたが、東日本大震災の被災写真修復ボランティア経験を経て、今は具象モチーフを交えた作風に変化した。「言葉にするのは難しい、伝わるか分からない、でも伝えたいもの」を、想いを乗せた筆で描く。
○…鎌倉生まれ。3歳で終戦を迎え、藤沢へ。6人兄弟の末っ子。兄たちが買ってくる雑誌に夢中になり、掲載されていた絵を模写すると、その上手さから一躍クラスのヒーローに。自分の絵を誰かが喜んでくれる、褒めてくれることが嬉しくてしょうがなかった。「子ども時代に誰かから認めてもらい、褒められて伸びることが大切。絵は強制されて描くものではない」。約40年間、教育現場で胸に抱き続けた想いだ。
○…制作時にはいつも「生みの苦しみとものを作り出す面白み」が付いて回る。同じく画業を行う妻は、よき理解者。2人の息子も芸術畑へ進んだ。「家族をはじめ多くの方に支えて頂いた。少しでも恩返しできれば」と微笑んだ。
|
<PR>