子どもたちに本を贈る「サンタ・プロジェクト」の発起人 大澤 秀夫さん 出口町在住 70歳
笑顔を贈るサンタ
○…茅ヶ崎平和教会の牧師にして「サンタ・プロジェクト」の発起人。自宅でクリスマスを過ごせない子どもたちに匿名で本を贈る地域ぐるみの取り組みは新潟を皮切りに、今や茅ヶ崎をはじめ東京や長野など全国10カ所に広がりを見せている。
○…東京都出身。小6の冬、近所の教会のクリスマス会を訪ねたのはお菓子がもらえると聞いたから。去り際にその教会の牧師に「また来週いらっしゃい」と声をかけられ、思わず頷いたのが始まり。「一度きりのつもりが、約束したことが心に残ってしまって」と苦笑する。高校卒業後は八幡製鉄に就職したが、時は全共闘の真っ只中。同級生たちが学生運動に身を投じる中で「なぜ自分はバリケードの中にいないのだろう。世のためにできることは何か」。悩んだ末、東京神学大学でキリスト教の教義について学ぶ決意をした。
○…卒業後は副牧師、牧師として関東を回り、教会同士の交流会で妻と出会った。4人の息子に恵まれ、川崎では未開拓の土地で一から教会を立ち上げるなど目まぐるしくも充実した日々を過ごしたが、次男の白血病が発覚。周囲の支えもあり快方に向かったが、「病室でクリスマスを過ごさざるを得ない子どもたちのことが頭に残った」。だからこそ「同僚からアメリカのブックチャリティーを教えてもらった時に、自分の使命だと直感で分かった」。すぐさま近くの書店に走り、店長にかけあったという。
○…茅ヶ崎平和教会へ赴任して5年。趣味の教育や政治など細かくジャンル分けされたスクラップブックは辞書級の密度で80冊を超える。匿名のため、送り手と受け取り手が顔を合わせることはないが、「ありがとうの言葉が原動力。プレゼントを開けた子どもたちが笑顔になってくれたら」
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