卒業シーズンが到来。東海岸北にある認定こども園・聖鳩(みはと)幼稚園では、卒園児に一風変わった記念品を贈っている。卒園生が「私だけの宝物」と話すのは、色紙に描かれた“肖像画デッサン”だ。
活動には市内浜須賀を拠点に、関東を中心とする各地の美術館で子供鑑賞会などを行う「NPO法人赤ちゃんからのアートフレンドシップ協会」が協力している。「肖像画プレゼントは私の思い出であり、夢でした」と話すのは同協会の冨田めぐみ代表(49)。冨田代表は、市内にあった女子美大付属幼稚園出身。卒園記念で、アーティストの木村恵子さんが描いた自身の肖像画デッサンをプレゼントされたことが、アートの原体験となった。「絵を描く人の眼差しに対峙し、内面を見つめられることでアートの力を感じた」と振り返る。
親子の芸術体験を支援する団体を経て、2014年に同協会を立ち上げた。「いつか同じように、幼稚園で肖像画デッサンの活動をしたいと夢見ていたんです」と微笑む。その思いに、別の活動を通じて知り合った聖鳩幼稚園の林光園長(57)が共感し、4年前に卒園プレゼントとして開始した。
子どもの心の糧に
今年度の聖鳩幼稚園の卒園生は29人。美大卒、美大生の協会メンバーが一人ひとり園児と向き合い、肖像画を制作していく。場所は、園内にある茅ヶ崎シオンキリスト教会の聖堂内。高い天井から柔らかい陽の光が差し込む木張りの室内で、コンテを滑らす音が静かに響く。「その道具何?」と興味津々の子や、照れてまっすぐ座れない子などさまざま。描き手は「小学校はどこに行くのかな」など声をかけながら、個性も含めてデッサンに写し取る。
10分ほどで「おしまいだよ」の声がかかると、子どもたちはホッとした表情に。完成した絵を見せてもらうと、「(描き手の)眼がキラキラしてきれいだった」「絵本に出てくる人みたいに描いてもらえてうれしい」と笑顔で話した。
完成した絵は、園内に展示された後、卒園イベントで手渡される。林園長は「楽しみにしている保護者の方もおられます。絵を描くことは日常的ですが、描いてもらうとなると特別です。観光地などの似顔絵ショップとは異なる“肖像画”はなおさら。子どもたちの心の糧となれば」とほほ笑んだ。
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