今や名実ともに高校サッカー界のトップに君臨する青森山田高校で、レギュラーを掴み取った茅ヶ崎出身の選手がいる。その名は「箱崎拓」。中学時代まで無名だったディフェンダーは強豪校で努力を重ね、3年生になった今季、花を咲かせた。
2020年1月13日、「第98回全国高校サッカー選手権」の決勝の舞台となる埼玉スタジアムのピッチに、箱崎さんは立っていた。守備を重視するチームのセンターバックの一角で先発出場。試合は残念ながら静岡学園に2-3で敗れ、青森山田は準優勝。「勝ちたかった」と試合後は悔しさに包まれたが、時間が経つに連れて青森で過ごした3年間への充実感が増してきた。
負け続けた小・中学時代
市内柳島で生まれ育った箱崎さんは、小学校1年でサッカーを始めた。浜見平FCを経て、小学3年からは鶴嶺FCでプレー。鶴嶺での週3回の練習だけでは飽き足らなかった少年は、「湘南サッカースクールロコ校」(元町)にも週2〜3回通った。
サッカー漬けの日々を送った小学生時代だが、「実力は伴っていなかった」と苦笑する。茅ヶ崎市選抜からは漏れ、中学進級に合わせて受けたJリーグクラブの下部組織のセレクションは、すべて落ちた。そして、市内香川が拠点のクラブ「湘南リーヴレ・エスチーロ」に進み、汗を流した。ここでも、湘南選抜に名があがることはなかった。
転機は中学3年。ポジションをそれまでのミッドフィルダーから、ヘディングの強さやコーチングを活かしたセンターバックに。守ることの楽しさを知った箱崎さんは、「全国トップレベルの選手にどれだけ通用するか試したい」と、夏には青森山田高のセレクションを受けた。「上出来だった」という選考を見事パスし、15歳で茅ヶ崎から青森へと渡った。
プレミアリーグMVPも獲得
中学までは目立った成績を残せず、負けてばかりだった箱崎さんの逆襲が、ここから始まる。雪国での1〜2月は、ボールをほとんど使わず雪上を走り続けた。長距離走やダッシュを交え、多い日には4時間。「きついと言われる練習はすべてやった」と言い、フィジカルとメンタル面は飛躍的に向上した。
迎えた最終学年、部員185人のチームで箱崎さんは先発の座を手にした。得意のヘディングに粘り強い対人プレー、さらにはチームを鼓舞する声。高校とユースチームが参加して真の日本一を決める「高円宮杯プレミアリーグ」を制し、決勝ではMVPも獲得した。
高校で”日本一”まで登りつめたものの、実直で謙虚な姿勢は変わらない。「まだまだできないことが多い。毎日が勉強です」。今春には大阪体育大学に進学し、将来のプロ入りを目指す。「負けたくない」。ここまで這い上がってきた精神力で、新たな可能性を拓いてみせる。
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