第6回トリエンナーレ豊橋「星野眞吾賞展」で大賞を受賞した 漆原(うるしはら)夏樹さん 寒川高校非常勤講師 37歳
新たな表現を求めて
○…戦後の日本画壇に重要な足跡を残した星野眞吾氏の功績に即し、3年に1度催される全国公募展で大賞を受賞した。受賞作『彼女の風景』は、自身が10年以上描かなかった人物をモチーフに筆を執った意欲作。審査員からは「その筆力と構成力に非凡なものが見られ、大いに将来が期待される作家」と高い評価を得た。「新しい挑戦だと思って、やらなかったことを全部やったといってもいい作品。新たな試みが評価されて嬉しい」と頬を緩める。
○…子どもの頃から絵を描くことが好きで、両親が褒めてくれることも嬉しかったという。中学に入学する頃には、美術系の仕事に憧れを持つようになり、東京芸術大学へ進学。「分かりやすく、素直に物が描かれている」と日本画を専攻した。志の高い仲間と切磋琢磨し、「1番を目指そう」と腕を磨き続けた。卒業後、2006年に初個展を開催。翌年には、若手作家を育てることで定評のある老舗ギャラリーから誘いを受け、1年半に1度のペースで個展を開いている。
○…作品を描くとき「普遍性」を追い求めているという。これまで、パンダやペンギンといった動物を通じて、その世界観を表現してきたが、「イメージしたものが描けるようになった。今までと違うもの、何か自分が驚く作品を」と人物の絵にチャレンジ。モデルには1歳6カ月になる愛娘を選んだ。「一番思い入れがあるもの」を独自の感性で描くことで、誰もが心を惹かれるような「普遍性」を表現した。
○…生まれは藤沢市湘南台。絵を描く他にも、プラモデル、ミニ四駆に夢中になった。「玩具店『おもちゃのぴーぽー』はミニ四駆が、『忠実屋』のおもちゃ売り場はプラモデルが充実していた」と思い出を語る。今は描くことが忙しく、「子育て」が趣味なのだとか。実は、奥さんも同じ日本画家。「絵を描くことに理解のある環境にいることが幸せ。自分の絵を研ぎ続けたい」
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