8月30日に投開票された寒川町長選挙は、現職の木村俊雄氏が圧勝した。「無投票阻止」を掲げた石黒昭雄氏の出馬もあり無投票は避けられたが、盛り上がりに欠ける選挙戦に。しかし、ある程度予測されていたこととはいえ、史上最低の投票率30・16%という数字は異例である。関係者は「現職優勢」を低投票率の理由に挙げるが、実際には町が抱える根本的な問題が影響したことは否定できない。
1回目の速報で予想通り現職が大きくリードし、10数人いた観覧者は皆席を立った。午後10時30分の2回目の速報で当選確実が出た開票所。誰もいない観覧席で記者は考えた。「現職優勢だけが投票率が低かった原因なのだろうか?」
記者が寒川編集室に着任した年の秋、驚くような出来事があった。新年号の恒例企画である町長インタビューについて、事前に質問事項を打診したときの話だ。『ツインシティー構想について』という項目について、町は「これは新年に相応しい内容ではない」と撤回を要求してきたのだ。
新年号というのは、きわどい質問を多用するより、新春らしく明るい未来を語ってもらえる内容を主とするもの。この観点から寒川町にとってツインシティー問題が相応しくないと、記者はその当時理解できないでいたとともに、町側の異例の対応に驚いたことが忘れられない。
新幹線新駅設置が決定していない現状、計画は立てられない―寒川町内では、これは仕方のないこととされている。神奈川県は相模川に架かる『ツインシティー橋』の建設を決め、ツインシティーのパートナーである平塚市もまちづくり計画を策定した。県は計画の立たない寒川町を非難した。しかし、どうにもならないのである。周辺自治体と一体となって勝ち取った新幹線新駅という権利は、今や設置場所の寒川町にとっては重荷と化してしまった。
今回の選挙で、町の将来を考え、強い意志を持って挑む新しい候補者は現れなかった。ツインシティー問題に劇的な解決策は望めない。これだけが町の問題というわけではないが、これが現状だ。こうした町の空気の淀みがもたらした低投票率―そう考えたくもなるような無人の開票所で、開票機のカタカタという乾いた音だけが空しく響いていた。
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