11月14日(土)午後6時、ド〜ンという音が寒川の雨空に響き渡った。一瞬の間をおいて大輪の花火が上空に姿を現す。「えっ、やるんだ花火」――まさにサプライズ。「第4回みんなの花火」が雨の中で予定通り開催された。関係者の声を交え当日の模様をレポートする。
実は当日の朝7時、実行委員会はフェイスブック上で「本日の花火は予定通り開催します」と告知をしていた。これについて後日、ずいぶんと判断が早かったのではという疑問を岸本優実行委員長にぶつけたところ「警察や消防への連絡、イベントの出店者への告知時間を考慮すると、このタイミングで決める以外になかった」とのこと。事前の開催告知では「荒天順延」とされており、普通の雨量であれば予定通り行うというのは最初から決まっていたのだという。花火の打ち上げ業者とも綿密に打ち合わせを重ねたうえで「風が強くなければやりましょう」ということだったそうだ。
知っていた人は知っていた予定通りの打ち上げ劇。しかし、知っていたとしても「本当にやるの?」と疑ってしまうほどの天気だった。なにしろ当日は朝から予報通りの雨模様。これについても「確かに、大降りになったらどうしようと思いました。ただ、細かい天気予報を入手していて、大丈夫ではないかという確信もありました」と岸本氏。
町はずれのカフェでは
花火はやらないと確信していた記者はその時、町はずれのカフェにいた。おそらく、当日の天候だけで「今日はない」と思っていた人がほとんどだったのではないだろうか。取材のスケジュールは空けておいたが、最終的に午後5時30分時点での雨の降り方を見て、完全に「ない」と判断した。もちろんフェイスブックは見ていない。そして、その時が来た。「ど〜ん」という音で、ほぼ満席となったカフェの空気が一瞬止まった。すると「やってるんだ」「ツイッターすごいよ」と小声で驚きの声が上がった。この天気で花火?店内は打ち上げられた花火を見ながら、この光景をどのように受け止めてよいのか戸惑いを隠せないような様子だった。店を出た記者は車を走らせ、傘を差しながら沿道で花火を見物する多くの人の姿を目撃した。
実行委員会には多くの声が寄せられた。その中には「なんでこんな天気で」「子どもや高齢者が見物することを考えてほしい」といった批判的な意見も少なくなかったという。過去3年は感謝の言葉ばかりだっただけに、肩を落とすスタッフもいたそうだ。しかし「感動した」「雨の中キレイたった」など例年にも増して感謝の度合いが高かったのも事実。「いろいろなご意見をいただき、真摯に受け止めたいと思います。そして次に活かしていきたい」と岸本氏は話す。
寒川だからこそ
結果的に多くの人々にとってサプライズとなった今回の花火。最初は戸惑いを隠せなかった記者も、最終的には雨中の花火に感動した。なにしろ、雨の中で花火を見る機会など滅多にあるものではない。これは記者の個人的な感想だが、寒川だからこそ上げられた花火だと思う。というのも、元々この花火は観覧場を設けず、思い思いにそれぞれの場所から見物できる、というコンセプトで行われているも。観覧席を設けて一カ所に人を集めて、という花火大会なら、打上げることはできなかったのではないか。また、「みんなの力で」というイベントだけに、資金的な余裕もない。フェイスブックでしか情報を発信できなかった態勢が、結果的にサプライズを呼び込む形になった。フジテレビの天気予報のバックに、今回の雨中の花火映像が使われるなどの反響も。今後も魅力的なイベントに育てていってほしい。
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