タウンレポート 満天の星空へ小旅行 平塚市博物館プラネタリウム
オリジナリティ重視上映作品手づくりで
先月リニューアルした平塚市博物館のプラネタリウムが好評上映中だ。博物館によると、空席の目立つこともあった観覧席が、連日ほぼ満席の大盛況。4千万個の星を映し出すという優れものの投影機もさることながら、星空へといざなう学芸員のナビゲーションも大きな魅力となっている。
最新の投影機『PANDORA』について、鳫(がん)宏道館長は「軽自動車に普通車のエンジンを積んでいるようなもの」と評す。同館は全国のプラネタリウムと比べて70席と小振りだが、より大きな館でも使われる投影機を導入。そのため、「画像の鮮明さや明るさは県内随一」と鳫さんも胸を張る。
館内には投影機を囲むように、大人でもゆったり座れる真新しいシートが並ぶ。「今まで小中学生の利用を主としていたが、今後は年配の方を意識しないわけにはいかない」と、鳫さん。
話題の配給映像『ハヤブサ〜バック・トゥ・ジ・アース』(7月10日まで土日のみ)が上映されていることもあり、今まで見かけることの少なかった高齢者やカップルも増えているという。7月16日からは『銀河鉄道の夜』の放映を予定している。
こうした制作会社からの配給映像も人気だが、博物館の自主制作番組も自慢だ。現在放映中の『すいせいゴエモンのぼうけん』(7月9日まで土曜のみ)もそのひとつ。鳫さんら学芸員がシナリオを書き、同館プラネタリウムを見て育ったという地元出身の声優やイラストレーターらが、学生時代から手伝っている。制作された番組は開設以来、300作にのぼるという。
「お金を出して外注すればいいというものではない。人的資源が支え」と、鳫さんは目を細める。「全国的にプラネタリウムが一時下火になったのは、オリジナリティを重視しなくなったり、上映内容を変えるフットワークがなくなったから」とも。
先週末も、『ごえもん』を目当てに多くの親子連れが目立った。鳫さんは番組放映前、まずは平塚の夜空を映し、星や星座にまつわる話を子供たちに聞かせた。星空同様、鳫さんの名口調もきらりと光る。「赤い星が見えますね。あれはアンタレスという星です。少し覚えにくいですね。”あんた誰です”で覚えましょう」とユーモアたっぷり。
鳫さんは上映後、「日が沈む頃の夜空を見せるようにしている。家に帰って、本物の星を見てもらえるようにね」と片目を閉じた。現在は、新しい投影機の機能を模索中。秋頃から徐々に自主映像の制作に取り掛かり、新たな星空の旅へ、老若男女を連れ出してくれそうだ。
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