第30回東海大学外国人留学生によるスピーチコンテストで学長賞を受賞した トリッティマー ルキッラックさん 東海大学大学院2年 25歳
心の「どこでもドア」開ける
○…「『そうですね』という日本語、いいですね」。スピーチコンテストの途中、次に話すべき言葉を一瞬忘れてしまったが、とっさに思い出した「そうですね」で場をつなぎ、乗り切った。出場3回目にしてつかんだ悲願の優勝。「達成感でいっぱいになりました」と、笑顔がはじける。観客の投票によって決まる特別賞も受賞した。「建前ではなく、人がきちんと評価してくれた賞。すごくうれしかった」。
○…10歳のとき、母国のタイで放映されていた”ドラえもん”に夢中になった。「原作者は何て頭がいいのだろう。こんなふうに頭がよくなるには、勉強するしかない」。そして、いつしか日本の教育を受けたいと思うようになった。18歳で留学し、日本語学校を経て東海大学に入学。現在は、同大学院で日本語教育学コースを選択している。「ドラえもんのおかげで、日本に来ることができました」。
○…スピーチのテーマは大好きなドラえもんにあやかり、「どこでもドアはどこかな」。どこでもドアを心の扉に見立て、人と人とが繋がることの大切さを伝えた。日本に来て間もない頃は、外見は日本人に見られるため、話すと相手の態度が変わるのが嫌で心を開けなかった。だが、「日本語が上手くなるためには、自分から話しかけなければ」と奮い立ち、殻を破った。積極的に「どこでもドア」を開くことで、人と心が通う。自らの経験を踏まえて語ったスピーチには、「暗いニュースが多い中、皆を明るくしたい」との思いが端々に滲(にじ)んだ。
○…来年はいよいよ卒業。就職先は、バンコクの国際交流基金に決まっている。「留学を心配していた親を、やっと安心させることができます」。去るのが名残惜しくもある日本。もうひとつ、好きな言葉がある。相手に対して、『頑張ったね』という意味が込められていて、いい表現なのだという。帰り際、お辞儀をしながら丁寧に言った。「今日はお疲れ様でした」。
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