「森林保全に終わりはない」
湘南平から高麗山にかけてのハイキングコースを魅力ある散策路に蘇らせようと、森林保全や整備、植林活動を展開しているボランティア団体「湘南の森」。活動から6年、会員たちの地道な努力が今、大きく実を結ぼうとしている。
「湘南の森」の活動は、市内平塚に住む会長の岩澤由美子さんが、湘南平から高麗山にかけてのハイキングコースに興味を持ったことから始まった。「かつては綺麗だったハイキングコースが、まるでジャングルのように、背丈ほどもある草で生い茂げっていたんです。ベンチや展望台は腐り、人が足を踏み入れられない状態だった」と、岩澤さんは話す。いても立ってもいられず、仲間3人と暗い森の中でカマを持ち、草刈りを始めたという。
湘南平の森を再生しようという取り組みは共鳴の輪を広げ、2009年には市民活動団体として発足。現在28人の会員の中には、花や蝶、鳥の専門家など、頼もしいメンバーもいる。こうして、草木で生い茂ったこの森に再び光と植物を取り戻す、”森の再生プロジェクト”が本格化した。
活動は月2回。ジャングルのようになった森の草刈りを何度も粘り強く実施。自然相手の作業は一筋縄にはいかず、刈っても刈っても育つ草に、悪戦苦闘することもある。時には、老木を伐採する木々のメンテナンスも行い、新しい木を植える準備もしてきた。チェーンソーなどの重い道具も、全て会員が手作業で山中に運んだ。
努力の甲斐もあり、今まで見ることのなかった希少種の花を確認できるなど、成果は確実に現れ始めているという。森は確かに再生しているという、確かな手応えを感じた岩澤さんらは、この森の魅力を多くの人に知ってもらおうと、オリジナルの観察ポイントを盛り込んだガイドマップを制作した。32種類の四季の花々の見所をまとめたマップは好評で、今月には、鳥や蝶、きのこなどの情報を加えた続編2000部も発行し、市役所などで無料配布している。
「私達の活動に終わりはありません。人が手を加えなければ自然は守れない。次のまた次の世代の人にも受け継いでいってほしい」と岩澤さん。先月には、初めての植林もようやく実現。125本の森の主役が息吹き始めた。花が増えると鳥や蝶が集まり、人が自然に接する貴重な空間となる。素敵な自然の連鎖を絶やさないために、岩澤さんらはこれからも活動を続ける。
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