3月に初の単行本を出版した絵本・童話作家 飯野(はんの)由希代(ゆきよ)さん 纒在住 51歳
気持ち動かす童話の作り手
○…出版した本のタイトルは、『はやくはやく』。子どもについ「はやく」と急かしていた自身の体験から生まれた童話だ。月日が経ち、最近では逆に我が子から「はやく」と言われる場面が多くなり、「子どもが小さかったとき、どんなにプレッシャーだっただろう、と思ったんです」。言う立場と言われる立場、双方の言い分を盛り込みながらも、「教訓めいたことは言いたくない。ただ子どもたちが読んで心を動かしてくれたら」と、”答え”の代わりに自身の思いを込めた。童話の最後は、意外な展開が待ち受ける。
○…茅ヶ崎出身で、平塚に移り住み約20年。2003年に「第3回グリム童話賞」優秀賞を受賞したのをきっかけに、本格的な作家活動をスタートした。現在はデータ分析の仕事をしながら、妻として、母として家事をこなし、「時間を課して」創作活動をしている。ひとつのことに集中しすぎてしまうという性格を自認し、子どもの教育ばかりにかかりきりにならないよう、だんだんと創作活動に目を向けていった。「見守りながら、適度な間隔を保つことが大切だと、子育てを通じて学びました」。
○…童話は、道徳ではないと思っている。「こうすべき、というメッセージよりも、自分が感じたことを素直に表現し、読んで明るい気持ちになってもらいたい」と、少女のような笑みをたたえる。気づいたことはすぐにメモし、入浴中でもふやけた紙を前に、夢中で創作に取り掛かる毎日だ。
○…そんな目まぐるしい日常の中、ホッと一息つくのは自分で点てる抹茶を楽しむとき。高校生の頃から習っていた茶道の作法は身体に染み付いていて、来客があったときにもふるまう。「書くこと自体は、孤独な作業。でも、たくさんの人に支えられていることを常に感謝しています」。日常が昇華した作品が今、平塚で芽吹いている。
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