平塚江南高校出身で世界で活躍する画家 澤野水纓(みずえ)さん ニューヨーク在住 72歳
世界を舞台に「自分磨き」
○…「運が良かったと思うのよ。色んな美術館からお声がかかって、食べていけてるの」と大きな目を見開いてにっこり。東京藝術大の大学院在学中にフランス政府の給費留学生として渡仏し、パリ・エコール・デ・ボザール作品展で銀賞。69年にニューヨークに渡り、同年にアート・スチューデント・リーグ永久会員に推挙された。現在もニューヨークのアトリエを拠点に、ワシントン国立女性美術館やモロッコのマラケシュ美術館をはじめ、世界各国の美術館やギャラリーで作品を発表している。
○…油絵を描き始めたのは8歳の頃。「女の子は女の子らしい人生を歩んで欲しいという時代だったから。父はお稽古でもやらせたつもりでしょうけど、本気になっちゃった」と舌を出す。あてもなく飛び込んだニューヨークでの数年は、印刷会社の写植の仕事などで生計を立てた。暗い部屋での作業を離れたある日、ブルックリン植物園に引き込まれるように入ると、蓮の花に目を奪われた。それから思い立ったように毎日、雨の日も植物園に通って絵を描き続けた。最初は不審がっていた関係者も画家と知り、絵の評判も次第に高まった。これが最初の個展を開く足がかりとなった。
○…11年の東日本大震災。「何度も映像を見て眠れないほどのショックを受けた」と話す。ニューヨークにあるギャラリーの持ちかけで、同年6月に震災チャリティー展を開催、5万ドルを超える寄付を被災地に寄せた。「何かやるべきことがあって私も救われた。やっぱり私は日本人だ、と感じた」と話す。
○…高校時代を振り返ると、「国語や英語はめっぽう苦手。点の付かないことがやりたかった」と苦笑い。子どもの頃から自立心が強く、絵を職業と思い定めていたという。「人と競うのではなく、自分と競うの。競争するなら、自分の怠け心をやっつけないと。自分を磨いて生きていきたい」と大きく澄んだ目で語った。
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