社会との接点にも
平塚市内の福祉施設に通う障害者が製造した雑貨や食品を常設で販売する「ひらつか障がい者福祉ショップ『ありがとう』」が28日、市役所新庁舎1階の多目的ホールにオープンした。幅広い品揃えで初日から多くの人で賑わった。
新築間もない新庁舎の1階多目的ホール。市内を拠点にする23施設の手作り商品が市場のようにワゴンに並べられた。ふっくら仕上げた焼き立てパンや、キンピラなどのお惣菜、お弁当や自慢のトマトジュース、リサイクル石けんやポーチ、ティッシュケースなどの食品や雑貨が手ごろな価格と豊富な品ぞろえで用意された。
各施設が協議会を組織して運営し、障害を抱える利用者本人が販売員を務める。オープン初日に売り子を務めた上原まいさんは、途切れることなく来店する客への対応に「緊張するけど楽しい」と答え、パンの種類を聞かれた場面も笑顔で説明していた。
福祉製品の常設店舗が開設された経緯は1995年にさかのぼる。地域作業所連絡会(高橋眞木会長)が福祉製品の展示即売会を市役所で開いたところ、上々の売れ行き。その後も年4回定期的に開かれ、福祉施設の大きな収入源になるだけではなく、障害者が社会に触れ、生きがいを見つける機会にもなった。
同連絡会などは、新庁舎建設を機に「障害者に雇用と就労の場を」と常設店舗の出店を市に要望。昨年7月には市の事業として福祉ショップの運営委託が決まり、各福祉施設や団体に参加を呼び掛け実現した。
「施設同士がここまで密に連携をとったのは初めてのこと」と障がい者団体連合会の鳥丸よし副会長は話す。常設ショップの設置がきっかけで協力してパンの製造を始めた作業所もあり、より良い製品を作ることへのモチベーションも高まっているという。
商品は、雑貨は一カ月ごとに出店する施設が変わり、食品は生産のペースに合わせて販売される。9月に出店する「地域活動支援センターこぶし」に通う菅原和人さんは「自分が作ったミサンガがワゴンに並ぶのが楽しみ」と出店を心待ちにし、自分が接客を担当するときは「笑顔で元気にやりたい」と意気込んだ。
高橋会長は「常設ショップの存在が福祉施設をつなぎ、障害を持った人と地域社会をつなぐ場になれば」と話し、大勢の客でにぎわうワゴンに目を細めていた。
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