東海大学の第33回留学生による日本語スピーチコンテストで学長賞・特別賞を獲得した ヌルトレウ ジャナルさん 東海大学院1年 23歳
日本語で語るカザフ愛
○…「宇宙人になった気分でした」。来日して1年、故郷カザフスタンの知名度の低さに悔しい思いをした。「戦争している国だとか、砂漠しかない国だと勘違いされたり。カザフの首都は都会だし、平和な国なのに」と声を大にする。東海大留学生スピーチコンテストのテーマは「ステレオタイプ」。固定観念にとらわれず、視野を広げて物事を見てほしいと、日本語で訴えた。
○…実家があるセメイ市では40年間、ソ連による核実験が行われていた。「研究者の姉が広島を訪れた時の話をしてくれたのが日本に興味を持つきっかけ」と、カザフスタンの日本人材開発センターで4年間、日本語を学んだ。「日本語を勉強している人は少数派。最初は生徒が60人いたセミナーも、最後は4人だった」と笑う。昨年9月、国費奨学金をもらい、東海大学に留学するため来日した。
○…冬は気温がマイナス20度にもなり川も凍るという故郷ではアイススケートで遊ぶのが定番。「スケートブーツさえあれば遊び放題でした」と懐かしむ。卒業後は帰国し、教師になるなど、故郷のために知識を使いたいと話す。ソ連独立後の難しい時代を経験した両親から繰り返し伝えられたのは「よく勉強しなさい」ということ。「3人の姉と両親が何をするにもアドバイスをくれ、支えてくれた」といつも背中を押してくれる家族を思う。
○…来日から1年間は同大で語学などの基礎知識を学び、今年9月に工業化学学科の大学院に進学。現在は、ほかの日本人院生たちと共に遺伝子組み換えなどの実験に追われる日々だ。「ホームシックになる間もなかった。今は研究に力を注ぎたい」と充実感をにじませる。校内で留学生が自国の文化を紹介する「国際フェア」ではエネルギッシュに自国をPRする学友たちを見て「自分ももっと頑張ろうという気持ちになりました」。固定観念をはねのける芯の強さが、自身の瞳をさらに輝かせる。
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