平塚市教育委員長に就任した 田城 裕司さん 入野在住 53歳
「人生の質」考える教育を
○…「子どもたちに人生の質を考えてもらうきっかけを与えたい」と願い、教育委員会の旗振り役として教育行政の屋台骨を担う。工業経営者という自身の経歴を、教育や医療畑で活躍する他の委員と対比し「私が教育委員なんて奇跡みたいな話」とジョークを飛ばすが、本業で培った経営・マネジメントの見識が頼もしい。株式会社タシロ社長。
〇…本業の精密板金を加工する工場では、小中学生に職業観を養ってもらおうと毎年見学に招いている。見学後には将来の夢などをたずねるアンケートを実施するが、学年を増すごとに夢の可能性を現実的に捉えていることが気になった。「どんな仕事に就いても、『ワクワクする』とか『楽しい』といった感情があれば、それは質の良い人生につながる」。教委が学校現場を訪問する「ふれあい授業」でも、「理想の職業についたとしても、それは本当に幸せなのだろうか考えてほしい」と、子どもたちに一貫して問い続けている。
〇…教委における3年間の活動を通じて、教育だけでなく平塚市の将来像についても考えることが増えたという。今後は「広い意味で平塚の存在を外部に発信していきたい」と言葉に力を込める。「平塚はとてもいいところ。眠っている素材を発見して生かしていくという発想は、事業家だからこそ得られたもの」。生涯学習の普及振興に取り組む社会教育部と連携し、ガイド付きのツアーを楽しめる新しい観光資源の開拓にも取り組みたいといい、「楽しくて、おもしろいと思われる魅力をこれから伝えていけたら」と夢は広がる。
○…生まれも育ちも平塚市。事業経営と教育活動の二足のわらじに加え、家では姉弟2人を持つ父親だ。「やりたいことを好きにやって、その道に突き進んでほしい」という声には、父親としての威厳と優しさを帯びる。教育行政と向き合うなかで子どもたちの可能性を受け止め、小さな背中を見守り続ける。
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