日本天文学会から2015年度の「天文功労賞」を受賞した 永井 和男さん 市博物館「天体観察会」所属 59歳
笑顔輝くサラリーマン博士
○…宇宙には明るさが変わる「変光星」と呼ばれる星がある。地球などとは異なり、みずから輝く恒星の一種だ。普段は大学や研究機関に属さない「アマチュアの研究者」として、35年以上にわたってその観測を続けてきた。この間、変光星を200枚ほどの写真に収めて光の様子を調べる「連続測光」のソフトウェアを開発、無料で公開したほか、観測者の指導、育成にも携わってきた。
○…自身の天体観測にとどまらず、観測技術の向上や指導者として果たしてきた役割は大きく、このほど日本天文学会から長期的な業績をたたえる「天文功労賞」を受賞した。初受賞の栄誉に「大変恐縮」と頭を下げ「これからもこつこつと取り組んでまいります」と決意をあらたにする。
○…横浜市に2人兄妹の長男として生まれた。星に関心を持ったのは小学5年生の時。親に買ってもらった百科事典がきっかけだった。もともと好奇心旺盛だったこともあり、全12冊、4800ページを夢中で読みあさった。その中で目に留まったのが「明るさが変わる星がある」という一節で「探究心をわしづかみにされました」と振り返る。さっそく小遣いで変光星図とルーペを買い、放課後は自宅にこもって星の明るさを記録するようになった。その後も関心が薄れることはなく、大学では他大生と一緒に研究する「大学天文連盟」に所属。変光星の観測に青春をささげた。卒業後は家電メーカーに就職。27歳で結婚し、現在は妻と茅ヶ崎市に暮らしている。
○…学生時代に大学天文連盟のボランティアで訪れた平塚市博物館には今も通い、同館を拠点とする市民サークル「天体観察会」の一員として活動している。趣味を尋ねると「やっぱり変光星の観測です。酒の肴も星ですよ」とにっこり。「心のように明るくなったり暗くなったり。いくつになってもこの面白さを追い続けたいですね」と笑顔をひときわ輝かせた。
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