NPO成年後見湘南の代表理事を務める 成瀬 富子さん 高浜台在住 70歳
子を思う親心 引き継ぐ
○…「親亡き後、子供を守って欲しいという親心だけ。怖いもの知らずで始めたけれど、こんなに大変な仕事とは思わなかった」と肩をすくめる。知的障害の子を持つ仲間と協力し、成年後見を請け負うNPO法人を創設、障害を理解した人に子を託したいという親の思いを反映した後見活動を展開している。財産管理だけではなく、定期的に依頼者の待つ福祉施設などを訪問し、本人の状況を把握する身上監護を重視。「本来の仕事ではないけれど、本人に行きたいとお願いされると、外出の付き添いをすることも」とほほ笑む。
○…家庭裁判所から後見受任者とみなされるための環境整備など、法人運営を軌道に乗せるまで困難の連続だった。自分の勉強不足を痛感し通信教育を受講、62歳にして社会福祉士の資格も取得した。「知らないことを知るのが凄く楽しい」。そんな明るく前向きな姿勢が、先例を見ない道を切り開く源となっている。
○…全国各地で同じ不安を抱える保護者から、ノウハウの提供を依頼されることも多い。これまで北海道や千葉、三重県など5つの地域で同様の活動がスタートした。「地域にあった活動をそれぞれの地域で立ち上げて欲しい」と願う。自身の運営するNPOの課題も担い手づくり。メンバーの高齢化が進み、生涯にわたり見守り続けられるという法人後見のメリットを支える後継者が必要だ。
○…自閉症の子を持つ親として「障害があると知った時のショックを乗り越えても、今度は周囲の偏見が辛い」と親の思いを代弁する。後見活動では、知的障害に馴染みがなく意思疎通の壁を感じていたメンバーが、依頼人と心を通わせる瞬間が必ずある。「人を見る目が優しくなるの。そんな所もこの活動の意義がある」と目を細める。自身の半生を振り返り、「息子のおかげで色んな人と知り合い、こんなやりがいのある仕事を与えられた。本当にいい人生」。そう切に思う。
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