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「私という存在は、肉体より日記の中にあった」 小野友貴枝さんの日記集『夢半ば』
1955年8月13日、栃木の民家の片隅で16歳の少女が日記にこう綴った。
「今の世の中は、何もかも男の人の職業ばかり。洋裁師も料理人も舞踊家も。だけど女は子どもを産むだけではいけないのだ。女の持つやさしさで国を明るくしなければ」
彼女はその後、東京・神奈川の看護学院で学び、小田原、秦野、平塚等で保健師として活躍。結核や精神病を患う人やその家族の声に耳を傾け、地域の保健福祉に貢献していく―――。
秦野市在住の小野友貴枝さん(77)。中学時代から62年間書き続けた日記をまとめ『夢半ば』((株)文芸社/全4巻)を今月出版した。
同書のページを開くと、当時の心境が生き生きと伝わってくる。両親の他界や貧困に負けず学び続けた青春時代、母としての喜び、共働きの苦労。保健師としてのキャリアを積みながら自身に問い続ける、職業人としてのあり方。小説家としての夢。
そして、それぞれのページの主人公は、読み手が抱える日常のトゲをそっとほぐしてくれる。働きながら子育てする女性に「生きる姿勢を見せればいいのよ」と励ましの言葉を贈り、年を重ねる人へ「まだまだ楽しめるわ」と元気を伝えるように。
だからこそ、彼女は日記を書き続けてきた理由をこう語るのではないだろうか。「私という存在は、肉体より日記の中にあった」
同書は市内書店で販売中。
株式会社 文芸社
TEL:03-5369-3060
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