市内在住で、元カンボジア難民の久郷(くごう)ポンナレットさん(54)がこのほど、第22回「女性文化賞」を受賞した。同賞は女性文化の創造に貢献した人や団体に贈られるもので、久郷さんは「とても光栄なこと」と笑顔を見せる。
久郷さんは1970年代にカンボジアで起きたポル・ポト政権による大虐殺を生き延び、その経験を綴った著書『色のない空』『虹色の空』(春秋社)などを出版。平和を訴える講演会も全国各地で行っている。
同政権下では知識層が虐殺の対象となったため、公務員だった父と教員だった母、4人のきょうだいを10歳で失った久郷さん。自身も農作業などの過酷な強制労働やマラリア感染を経験したが奇跡的に生き延び、79年に同政権が崩壊するとタイに逃れ、80年に留学中の姉を頼って来日した。16歳で海老名小学校に4年生として入学。日本人男性との結婚を機に平塚に移っている。
「『目には目を、歯には歯を』の応酬をどこかで断ち切らなければいけない」と久郷さんは繰り返す。05年にカンボジアで開催した合同慰霊祭では、当時虐殺に加担した住民とも顔を合わせた。「記憶の中では恐ろしく鬼のような人たちが、年を重ねて普通の老人になっていた。私自身が復讐の気持ちを持たなければいいのだと気付いた」。2月にはカンボジアを再訪し、対話会を予定している。
久郷さんは著書などを通して「肌が何色であろうと、人間性を真っすぐ見られる社会、平和な世界になってほしい」と訴える。「平塚も外国人をたくさん受け入れている。お互いのバックグラウンドを尊重して、気軽に国際交流できる良いまちだと思います」と話していた。
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