「次の時代、少しでも恩返し」
菅家工務店の一大プロジェクトがついに完結。大磯駅前にある「学校法人聖ステパノ学園」で昨年8月から建設が進められてきた木造体育館と職員室が3月に竣工した。「まちの工務店」が請け負った大規模事業を終えた菅家芳助社長(73)に話を聞いた。
夕陽ケ丘にひっそりと事務所を構える同社は、のどかな街並みに静かに溶け込む小さな工務店だ。しかし、木造住宅を手がけて60年が経った今も、顧客からの依頼が後を絶たない。聖ステパノ学園からの依頼もその一つだった。「こんな大がかりな仕事をうちみたいな小さな会社に下さり、驚きと感謝の気持ちでいっぱいでした。まさに平成最後の大仕事ですね」
竣工までのおよそ8カ月間、菅家社長は毎日のように現場に足を運び陣頭指揮。熟練された大工たちとの息の合った作業は、見ているこちらも目を見張るものがあった。同社の代名詞でもある「木の温もり」が体育館、職員室ともにあふれ、先生方や生徒たちの笑顔が目に浮かんでくる。「平成が終わり、新しい時代に入っても末永く使ってもらいたいね」
新築・リフォームはもとより、寺社の鐘楼、護摩堂、校舎の建て替えなど、高い技術が求められるさまざまな現場を請け負ってきた。一般住宅の完成現場見学会を開けば毎回多くの人たちが訪れる。いくら時代が進んでも「木の温もりにこだわり続ける」という社長の誇りを反映した住宅を一目見ようというのが来場者の目的だ。
同社が手がける住まいの特徴の一つは、耐震と言えよう。木造だからといって地震に弱いのでは困る。菅家社長は、木造にこだわりながらも、顧客の予算に寄り添い、最大限の耐震構造を盛り込む。平成の時代には東日本大震災があり、関東地方も大小の余震に度々襲われた。「たとえ震度6以上が起きても大丈夫。日ごろから安心して暮らしていただけます」
「昭和、平成とこの業界を歩んでこられたのは、お客様や関係各位の皆様のおかげ。令和の時代は少しずつでも恩返ししていけたらと思います」。住まいの匠は笑顔で話した。
同社では一般的な耐震基準の2・69倍という強度を持つ「TIP構法」を採用している。「住まいに関するお悩みや疑問、質問はご遠慮なくどうぞ」