湘南ベルマーレは、選手やスタッフにパワハラ行為をしていたとするJリーグの調査結果を受け、曺貴裁氏の監督退任を決めた。様々なハラスメントが社会で問題視され、多くの企業や組織が防止策に向き合う中、調査結果に挙げられた行為は許されるものではなく、その責任はあまりにも重い。選手全員が攻守にハードワークを惜しまない「湘南スタイル」のサッカーを確立したと衆目評価される功労者であっただけに、一連の事実は残念だ。
曺前監督は、J1とJ2と行き来する「エレベータークラブ」と揶揄されたクラブをけん引した。3度のJ1昇格は指揮官の強い意思なくして成しえなかっただろう。指導力に目をつけた資金力のあるクラブからの誘いも断り、湘南ベルマーレ愛を貫いた。
取材などで地域を回ると、監督にまつわるこぼれ話を何度も耳にした。就任当初は、ホーム戦のチケットを地元小学校の校門前で配っていたこともあった。験を担いで訪れていた市内ラーメン店では、「ここで食べると不思議と勝てるんだ」と言って帰る気さくさも持ち合わせていた。地域にも愛され、人柄に惹かれて入団した若手有望選手やベテランも少なくない。
曺前監督は会見で「全身全霊をかけて内省を深め、自分が犯した事象に向き合い、乗り越える努力をしたい」と反省の弁を述べた。サポーターも直後のホーム戦で「猛省しろ」との横断幕を掲げて叱咤した。退任で地位は失ったが、湘南で築いた実績を踏まえると、再起する機会があっても良いはずだ。今回の事実を反省し、サッカー界の発展に貢献してもらいたい。
クラブは10日、浮嶋新体制を発表した。数々の苦難を乗り越えた経験を糧に、湘南スタイルの新しい歴史に期待する。
|
|
|
<PR>
平塚版のローカルニュース最新6件
|
|
|
|
|
|