創立50周年を迎えた県立平塚養護学校の校長 中戸川 伸一さん 座間市在住 56歳
心を動かすという社会貢献
○…「養護学校が義務教育化された1979年より10年も前に、先人たちはこの学校を創立した。当時の苦労は凄まじかったのではないか。それを思うと、尊敬の念が湧き上がる」。半世紀におよぶ歴史を持つ、県立平塚養護学校の校長に就任して約1年半。「障がいのある子供には、人の心を大きく動かす力がある。体の不自由な方々への理解を深めさせてくれること自体が、素晴らしい社会貢献だと思う」と話す。
○…秦野市出身。特別支援学校教諭を志すきっかけは「平塚江南高校への通学途中、バスの車内でいつも見かける、ろう・盲学校の生徒たちの姿」だった。元々中学教師を目指していたが、楽しそうに手話で会話したり、白杖を手に通学する子たちを見るうち、次第に障害児教育にも惹かれるようになった。大学を卒業すると、23歳で座間養護学校に着任。奮闘の毎日が始まった。
○…最初に担当した小学6年の男子との思い出が、特に鮮明に残っている。昼食を食べさせようとスプーンを口元に運ぶも、毎日拒否され食べてくれない。信頼関係を築けず、自信を失いかけながらも懸命に指導を続けた結果「1週間後、初めて大きく口を開けて食べてくれた。『ようやく先生として認めてもらえた』と、その瞬間、涙が出そうなほど嬉しかった」。1年間をともに過ごし、迎えた卒業式。成長した姿を見つめ、涙が止まらなかった。「あの時の喜びが、30年以上経ったいまも心の支え」と語る。
○…来年は日本でのパラリンピック開催に加え、約10年振りとなる学習指導要領改訂の年。「社会全体が障がいのある人への偏見を捨て、日本が変わる絶好の機会」と捉えている。今後も障害の有無を越え、誰もが互いに理解し合える社会の実現に貢献していくつもりだ。
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