市内紅谷町在住の松本千鶴さん(69)は、平塚で見られる雑草をモチーフに植物画を描き続けている。松本さんは「新型コロナの影響で気持ちが塞ぎがちな今こそ、雑草の生命力にヒントがある」と、遠くに行けないからこそ身近な植物と向き合い、筆をとり続ける。
松本さんは東京芸術大学を卒業後、藤沢市で美術教諭を務めた。理科教師で植物が専門だった夫の影響で植物に興味を持ち、36歳で本格的に植物画を習い始めた。「じっくり一つの植物を観察していると今まで何を見てきたのかと思うくらい、新鮮な気持ちで美しさを感じた」と松本さん。ありのままを描くことを意識しつつも、水彩の透明感を生かした淡いタッチが特徴だ。
コロナ禍のヒントに
昨年2月には「松本千鶴植物画集2 湘南の身近な草との語らい」(幻戯書房・2500円)を出版。掲載作品は、平塚駅から海岸への道のり等を繰り返し歩き、草花の状況を定点観測している中で見つけたものばかりだ。「去年はハコベだったのに今年はキュウリグサが元気だとか、どんどん入れ替わるのが面白いです」。心に留まった雑草は、持ち帰って花瓶につけ、水を吸う様子や花が開いたり閉じたりするのを観察し、植物が「どう生きているか」を読み取っていく。
松本さんは「すぐそばにあるものを新しい気持ちで観察してみてください。色や香り、形を発見できると、心がやすらぐはず」と話していた。
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