平塚市内の防災イベント「第10回ひらつな祭」が開かれた。第1回目から実行委員長を務めている能勢康孝さん(60)に市民主導のイベントが誕生したきっかけ、10年間続けてきた想いなどを聞いた。
東日本大震災の発生前年の2010年、能勢さんは地元コミュニティFM「FM湘南ナパサ」の市民ボランティア団体の会長を務めていた。「FMの周年事業で企画した防災イベントが『ひらつな祭』誕生のきっかけ」と能勢さんは振り返る。
「防災に接点がない人に呼びかけたい」。FM局のサテライトスタジオがあったことからOSC湘南シティの協力を得て、地元防災団体と作り上げたイベントだった。震災発生直後は同イベント参加団体と被災地支援の募金を開始。約250万円の寄付金を七夕で縁のある仙台市に届けた。
「祭りなどで普段から人のつながりが深いまちは防災に強い」。防災講演会の講師から聞いた言葉に能勢さんは突き動かされた。「知ってしまった人間が伝えていかないと」。こうして被災地支援と平塚の防災力強化を目的としたイベントが誕生した。「『平塚』で『つながろう』」で「ひらつな祭」と名付けた。
「みつばち大作戦。楽しいイベントに集まる市民に防災の花粉をつけて帰ってもらいたかった」と2012年の第1回目を回顧する。「楽しんでくれたが、防災が伝わったかは疑問」。反省会で課題を洗い出し、試行錯誤を繰り返した。
参加者から様々な意見がぶつかりあう。開催5回目くらいには「今年は開催しなくても良いのでは」という声も挙がった。しかし能勢さんは「1回やめてしまったら続かなくなる」と無理してでも続けてきた。
昨年は新型コロナの影響で苦渋の中止。今年は内容などを工夫して開催にこぎつけた。能勢さんは「震災から10年、当時の記憶が薄れてくる。繰り返し襲ってくる災害への慣れもある。それが怖い。だからコロナでも開きたかった」と語った。
|
<PR>
平塚版のローカルニュース最新6件
|
|
|
|
|
|
|
<PR>