平塚市美術館で4月24日(土)から開催される「開館30周年記念 荒井寿一コレクション『川瀬巴水(はすい)展』」に、市内に本社を置く荒井商事株式会社の代表取締役会長の荒井寿一さん(67)が自身のコレクション約300点を提供する。
川瀬巴水は、「昭和の広重」と謳われる近代風景版画家の第一人者。大正から昭和にかけて、日本各地を写生し、その場に暮らす人々の生活や四季折々の風景を題材とした抒情溢れる作品は数多くの愛好家を魅了する。
海外で注目の巴水ジョブズも愛好
巴水の作品は日本よりもまず海外で注目された。その人気は葛飾北斎や歌川広重と並んで”3H”と呼ばれるほど。近年ではアップル創業者の故スティーブ・ジョブズ氏が収集したことで国内でも人気に火が付いた。
展覧会では『東京十二題 五月雨ふる山王』『旅みやげ第二集 金沢下本多町』などの代表的な作品のほか、巴水の初期から晩年までの優れた100点以上の版画作品を網羅。今まであまり注目されることのなかった本の装丁や雑誌の表紙・挿絵・口絵・絵はがきなど、幅広い作品が本邦初公開となる。
昨年4月に開催される予定だった同展は、新型コロナの影響で中止となっていた。巴水の作品250点余りを集めた展覧会だったが、その中で100点以上を占めていたのが「荒井寿一コレクション」。中止を受けて、荒井さん個人の所蔵品のみで再構成したのが今回の展覧会だ。
幼い頃の平塚原風景を重ねて
1920年に米穀卸売として創業し、食品流通や中古車オークションまで手掛ける荒井商事の代表取締役会長を務める荒井さん。文化・芸術の振興に携わる湘南フレンズ倶楽部運営委員でもあり、芸術分野に造詣が深いという一面を持つ。
荒井さんと巴水との出合いは約20年前。商用で訪れていたロンドンの、たまたま立ち寄った骨董店で、巴水の『水木の曇り日』という作品を目にした。当時、美人画の名家・鏑木清方門下でありながら、同門の伊東深水や名取春仙らと比べても、その他大勢といった扱いであったという巴水。しかし、「出合った瞬間に、その作品の中の風景に同化し、自分が幼い時に見たであろう日本の原風景に魅せられた」とその瞬間を振り返る。その場で購入を決めた。
巴水の魅力にあてられてからは、国内の古書店を巡り一点一点作品を集め、今では国内随一と言われるほどの個人コレクターとなった。
平塚からの眺めを描いた『東海道風景選集 馬入川』には、平塚で生まれ育った荒井さんも郷愁を感じるようだ。「巴水が他の作家と異なるのは、空、海、雲、夕暮れ、雪や雨など、旅好きの巴水が自らの肌で感じ取った一期一会の風景との出合いが描かれている点。大正・昭和期の良き日本の風景がそこにはある」と魅力を語る。
展覧会に際しては、「平塚には立派な美術館がある。ぜひ足を運んでもらって芸術に親しんでもらい、こういう作家がいると少しでも知ってもらえたら」と話した。
招待券をプレゼント
展覧会は6月13日(日)まで。午前9時30分〜午後5時。(月)休館。一般800円。高大生は500円。(問)同館【電話】0463・35・2111
読者限定で10組20人を同展に招待。氏名・年齢・住所・電話番号・読みたい記事を明記し【メール】hiratsuka@townnews.co.jpまたは、はがき(〒254―0032平塚市八千代町1の23の3F)でタウンニュース「川瀬巴水展」係まで。4月19日(月)必着。
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