新年にあたり、本紙は落合克宏平塚市長にインタビューを行った。落合市長はコロナ禍における経済対策や市北部で進むまちづくり、神奈川大学のキャンパス売却といった市政に関する取り組みや課題について語った。(聞き手/平塚編集室副編集長・松田亮介)
--市制施行90周年を迎えた2022年をどのように振り返るか。
「コロナ禍や物価高などにより、市民や企業の皆さまには先行きの不安を拭いきれない年になった。一方、ウィズコロナの下で社会経済の正常化が進み、世の中には明るい兆しも感じられる。
市内では湘南ひらつか七夕まつりや湘南ひらつか花火大会をはじめ、3年ぶりに実施する事業や活動が相次いだ。地域社会における絆やつながりが取り戻され、その大切さを再確認できた」
--七夕まつりは実施方法を大きく見直した。
「開催を決断したときは、まだ感染拡大が収まらず危ぶむ声もあったが、『今年こそ何とかして伝統をつなげなければ』との思いが強かった。安心安全を担保する対策として飲食の制限を設けたことなどにより、結果的に七夕飾りそのものを楽しむという原点回帰ができ、市民の皆さまの心に残るまつりになったのではないかと思う」
--市北部で進むツインシティ事業の進捗は。
「ツインシティ大神地区では昨年4月に相模小学校が移転し、新たな校舎へと生まれ変わった。国道129号の西側に予定されていた立地企業も全て竣工し、まちの中心となる道路や公園の整備が進む。1月28日には土地区画整理組合によるまちびらきも開催される。
春には地区のにぎわいの核になる大型商業施設が開業し、2023年度中には大型商業施設の北側に位置する複数の物流施設も順次開業を予定している。都市基盤整備についても、残る住宅街区の道路や公園などの都市基盤整備が進められ、いよいよまちの完成が近づいている」
--経済効果も期待される。
「市の試算として、2025年の換地処分後から10年後までには建設効果や操業効果を、累計約6100億円と見込んでいる。2020年度から新たに立地した事業者に、順次、固定資産税などを課税し、2022年度では2019年度と比べて約3億5千万円の増額となる」
神大平塚キャンパス売却「交流継続へ、声届ける」
――コロナ禍での経済対策については。
「平塚市ではコロナ禍でも社会経済活動を停滞させないため、事業者の皆さまに寄り添った支援を続けてきた。全国に先駆けた電気料金高騰に対する事業者支援、キャッシュレス決済の普及、中小企業における脱炭素化の推進などは、地域経済の再生・活性化を後押しする力になったと思っている」
選ばれるまち数字でも実感
――市政運営では「選ばれるまち・住み続けるまち」をテーマの1つに掲げている。
「コロナ禍の影響で在宅勤務やテレワークなど生活スタイルの変化が進んだこともあり、2022年の人口の社会増減は市外からの転入超過が1579人(2022年11月末現在)となり、過去30年で最高になる見通しとなった。
また、子育て支援や高齢福祉、教育、経済など幅広い分野で取り組みを進めた結果、市民意識調査では『今後平塚市に住み続ける・たぶん住み続ける』と回答した人が徐々に増えてきた。今年度の調査結果では、速報値で8年前の調査より6・8ポイント増加して約9割に上っている。
これらの数字からも、多くの方々に平塚が選ばれ、平塚に住み続けたいと思っていただけているのではないかと感じる」
――神奈川大学が湘南ひらつかキャンパスの施設と土地の売却方針を示した。
「大学が2017年に移転表明後、平塚市は何らかの形で残ってほしいとお願いしてきた。平塚のキャンパスから学部がなくなることは残念だ。1989年のキャンパス開設から30年以上にわたり、大学と市・地域との交流が行われ、絆が築かれてきた。形は変わっても大学との交流が継続されることを期待したい。
2022年10月には大学主催による地域説明会が開催され、改めて売却方針であることが示された。売却先や跡地の利用などについて具体的なことは決まっていないというが、跡地の利活用について心配や不安視する地域の声が届いている。市は引き続き地域の声を受け止め、意見交換を行うなど地域と共にこの課題に取り組んでいく」
――2023年のテーマを漢字1文字で表すとしたら。
「様々なものをより合わせて1つのものを作り出すという意味の『紡(つむぐ)』。新型コロナウイルスの流行による影響が多方面に広がる中でも、平塚市はこれまで積み重ねてきたものを基盤に、未来に向けて新たな歴史を紡いでいくという願いを込めた。市民の皆さまの思いを一つ一つより合わせていきながら、誰もが心豊かに暮らせる持続可能なまちづくりを進めていきたい」
【1月12日号に続く】
|
|
|
<PR>
平塚版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|