新年にあたり、本紙は落合克宏平塚市長にインタビューを行った。成長戦略の要と位置付ける子育て支援対策に注力した昨年に続き、平塚駅前再開発の将来構想策定、学校給食センターの稼働など、重点事業が控える2024年度の市政運営に意欲をにじませた。(聞き手/平塚編集室副編集長・松田亮介)
――昨年の市長選では、子育てや高齢者支援、経済対策などを訴えて4選を果たした。中でも当選後の6月補正予算では、子育て支援に注力する姿勢を打ち出した。
「子どもへの投資を成長戦略と捉え、子育て支援対策に取り組んでいる。昨年12月の診療分からは、中学卒業までの入院及び通院の医療費助成を高校生相当までに所得制限なしで拡大した。また、いわゆる『手ぶら保育』で保護者や保育士の負担を軽減するため、認可保育所などへの補助金の交付を含む支援も始めた」
――昨年印象に残っている出来事は。
「11月にリトアニア共和国カウナス市と姉妹都市提携を結ぶことができたことが印象深い。カウナス市とは東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会で同国のホストタウンになったことをきっかけに絆を深めてきた。
私も現地を訪問して調印式に臨んだ。カウナス市は、先の大戦中に在カウナス日本領事館領事代理の杉原千畝氏が『命のビザ』を発給し、多くのユダヤ人を救ったことで知られる都市。市民が日本に親愛の情を抱いてくださっており、素晴らしい都市と姉妹都市提携をすることができ、大変光栄に思っている。
今後は、『教育』『文化・スポーツ』『経済』の3分野を中心に、平塚・カウナス交流推進委員会と連携しながら多様な交流事業に取り組みたい」
中学校給食9月開始へ「本市の念願」食育にも期待駅前再開発へ将来構想策定
――平塚駅前再開発については、2024年度に「平塚駅周辺地区将来構想」の策定を予定している。
「昨年は、駅周辺地区の再開発などを見据えた敷地の共同化を推進するため、『平塚市敷地共同化推進事業支援制度』を先行して始めた。24年度末の策定を目指している『平塚駅周辺地区将来構想』は、市と市民や事業者が、おおむね20年後の平塚駅周辺地区のまちの姿を共有し、持続可能なまちづくりの実現を目指すものである」
――20年後の駅周辺地区について、どのような方針を掲げていくのか。
「住む人、働く人、遊びに来る人など、誰もがお気に入りの空間や体験を見つけることができるように、家の中で家族が集まり、くつろぎ、様々な目的に合わせて過ごす『リビング』のようなまちを目指したい。
このまちのイメージを実現するには、地権者の協力も必要となる。その支援策についても、構想と同時に『アクションプラン』としてまとめていきたいと考えている」
1万5千食の提供体制整う
――今年9月に(仮称)平塚市学校給食センターが開業することで、小中学校合わせて36校、約1万5千食の提供体制が整う。
「新たな学校給食センターの開業により、長年の念願だった中学校給食を開始することができてうれしく思っている。
給食は昼食を提供するだけではなく、子どもたちが食に興味や関心を持ち、食に関する様々な知識を身に付ける食育の面も強くある。
給食センターには炊飯設備も導入して米飯給食を促進する。平塚産米の『はるみ』をはじめ地場産食材を積極的に活用し、子どもたちの郷土への理解と愛着を育んでいきたい」
変化に対する積極姿勢強調
――2024年度は新たな平塚市総合計画がスタートする。将来を見据え、計画の中で取り組んでいきたいことは。
「総合計画の策定に向け、ワークショップなどを通して市民の思いを共有してきた。まちの将来像に対する思いを実現し、自治基本条例に定める『市民が幸せに暮らすまち』を目指す。
今回の計画では、変化に受け身にならないこと、組織の縦割り意識を排除すること、官民連携を有効に活用することの3点を意識している。これらをまちづくりの基本姿勢とし、未来志向の施策を展開していく。
本市の人口動態では、昨年1月から11月までの社会増が2521人となり、2022年を上回る状況。一方で、自然減の影響は大きく、人口減少は避けられない。人口減少社会に本格的に適応していくためにも、公共施設の最適化や子ども子育て政策を強化する必要を感じている」
――重点戦略は。
「総合計画では4つの柱を掲げている。1つ目の『子どもを育む環境づくり』では、子育て支援に少子化対策の視点を加えた。2つ目の『活気あふれる産業づくり』では、本市の強みである産業の更なる強化を図る。3つ目の『高齢者の想いに寄り添う環境づくり』では超高齢社会への対応を、4つ目の『安心・安全で快適なまちづくり』では、これら3つの重点戦略の効果をより確かなものとするため、人口減少に地域社会を適応させていく。
また、『デジタル化、脱炭素化』の取り組みも更に加速させたい」
――今年の抱負を漢字一字で表現すると。
「今年、重点的に取り組みたい政策には『子育て』『保育』『教育』『食育』などがあることから、『育』を選んだ。
2011年の市長就任からまいてきた政策の種は、大きく成長し、実を結んできた。その成果は、昨年で9年連続となった人口の転入超過や市内産業による再投資など、形になって表れている。『ずっと、選ばれるまち、住み続けるまち』の実現に向け、引き続き将来を見据えた幅広い分野にわたる政策の種をまき、育む。時代の変化や潮流を捉え、一歩一歩着実に、今年もこの大切な過程を続けていきたい」
※1月11日号では、神奈川大学湘南ひらつかキャンパスの移転問題、龍城ケ丘プール跡地での公園整備計画、湘南ベルマーレのスタジアム建設に対する市長の見解などを紹介する。
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