陶磁器上絵付師として国内外で活動する 松田 早苗さん 東真土在住 63歳
上絵付に込めた「ありがとう」
○…無機質な白磁に幾重にも色を重ね、華やかな模様を焼き付ける陶磁器上絵付。赤・緑・黄・紺・紫の5色に金彩や金箔を加える独自スタイル「古伊万里金襴手」を確立し専門誌にも数多く掲載、2004年の国際陶磁器大会「IPAT米国ダラス大会」で金賞を受賞した。台湾やアメリカ、オーストラリアなどでも講師を務め、日本の美を発信している。
○…平塚で生まれ育った。23歳で衣料品卸業を営む夫と結婚し息子を出産したが、2年後に夫を急性心不全で亡くす。「お客さんに迷惑をかけられない」と涙を拭いて半年間、社長として会社をけん引、義弟に引き継いだ。友人に誘われ33歳で陶磁器上絵付と出会う。「絵を描いた経験がなかった分、素直に学べた」と、瞬く間に技術を吸収。「色の組み合わせや焼成の順番を考えるのが楽しい」と夢中で取り組んだ。7年間の修行を経て講師に転身。藤沢や原宿などで教室を持った。04年の浜名湖「花博」では、知人100人に白磁に上絵付をしてもらい、ひとつの作品として出品。「みんなの心が一つになったようで感動した」と振り返る。
○…白磁は岐阜県、金箔は京都府など産地を訪問した上で買い付ける。苦心して制作した絵皿や花器は販売するほか、自宅の食器などで愛用。「実用的なのも魅力」とにっこり。破損しても「形あるものはいつか壊れる。むしろ新しい作品が作れると思うとワクワクする」と創作意欲を駆り立てる。
○…本当は昨年、展覧会を催すはずだったが同年に活動の最大の理解者だった父が他界、絵を描く気力を失った。「そんな時に地元の同級生が励まして応援してくれて立ち直れた」。活動開始30周年を迎えた今年のテーマは「ありがとう」。集大成に向け、感謝の思いを込めて絵筆をふるう。
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