5月1日の改元に先がけて新元号「令和」が1日、発表された。平成に代わる新時代到来の機運が高まるなか、市内の様子を取材した。
中央図書館では令和の典拠となった万葉集と関連資料を紹介するミニ展示が、新元号の発表翌日から開かれている。職員の腰越未樹さん(33)が中心となり準備を進めた。
1日は休館日だったが、万葉集関連のネット予約が相次ぐなど市民の関心が高いと思われたことから、ミニ展示の実施を決めた。ブースには万葉集をはじめ対訳本や解説本など20冊ほどが並び、貸し出しも受け付けている。
同館にある万葉集関連の蔵書は289冊で、令和が引用された梅花の歌三十二首序文を収録した書籍をはじめ21冊が5日時点で貸し出し中だ。貸出数は増加傾向にあることから、腰越さんは「”令和ブーム”がより多くの皆さんに図書館を利用してもらう貴重な契機になれば」と期待している。
展示は5月6日まで。
「令和」でアート作品も印章店では表記の確認作業
新元号が発表された日、岡崎在住のイラストレーター・伊藤文人さん(68)は「令和」への思いをアンビグラムの作品にした。一見すると令和の2文字。だが、それぞれの文字をよく見ると「令」は「へいわ」、「和」は「つながり」という平仮名でできている。
アンビグラムとは、異なる方向からも読み取れるように描かれたアート。
「新元号で何かを作りたいと考えていた」という伊藤さんは4月1日、今や遅しと自宅で発表の瞬間を待った。令和の文字を目にすると「予想もしない元号だった。さあ、どうしたものか」と思案しつつ、すぐさま自宅2階のアトリエへ。
試行錯誤を重ね、パソコンに向かうこと1時間30分。平仮名特有のしなやかな書体を巧みに生かした作品を創り上げた。
「新しい時代が平和で、人と人とのつながりを一層大切にする世の中になってほしいという願いを込めた」と伊藤さん。その日のうちに自身のフェイスブックで公開した所、「多くの人から良い反響があり、うれしかった」と笑顔で語っていた。
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一方、明石町にある東曜印房では1日、新元号の発表と同時に発注を受けていた印章の製作が進められていた。
「昭和天皇が崩御された30年前と違い、バタバタするということはなかったのですが」と店主の水嶋祥貴さん(42)は、15種類以上の書体で変換した令和を指さした。「令の下はマでも良いのか」
菅官房長官が掲げた令の字は最終画をはらっていたが、マと表示される書体は多い。ミスが許されない作業ゆえ「やはり焦りました」と水嶋さん。
その後いくつもの辞典をひも解き、どちらも間違いでないことを確認。市役所から受注した日付印はマの字の令を使った。「時代の転換期ならではの体験でしたね」と水嶋さんは胸をなで下ろした。
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