福島の高校生と意見交換 震災・原発テーマに大磯で公開討論
東日本大震災と福島第一原子力発電所事故の被害を受けた福島県の高校生とともに震災・原発について考えるシンポジウムが3日、大磯町国府本郷の星槎湘南大磯キャンパスであった。同県立相馬高校の生徒と教諭らが、震災体験や放射能汚染に苦しみながらも復興を目指す福島県民の思いなどを報告。神奈川の同世代の若者と意見交換した。
シンポジウムは星槎大学や星槎学園湘南校(二宮町)などの星槎グループの文化祭である「星祭り」で開催された。一般財団法人世界こども財団が協力。福島県立相馬高校と星槎国際高校郡山学習センターの高校生4名と教諭ら、県立原町高校校長が発表に立った。
物資不足や避難生活を経験した相馬高校の生徒は「スーパーでの買い物や並ばずにガソリンを入れられることなど、普段当たり前にできることを幸せに感じた」と話した。また、避難区域になった県立原町高校と相馬農業高校をサテライト校として5月の連休明けから相馬高校が受け入れたことを紹介。「一つの学校に複数の学校が入り、今までにない学校生活で皆に不安があった。しかし、お互いに同じ悲しみや辛さを知っているからこそ、今日までトラブルもなく、協力して過ごせた」と報告した。さらに、原発事故による放射能の恐怖と戦いながら日常を取り戻そうと生活している福島県民の思いを述べ、「原子力発電所の在り方を見直す時が来たのではないか」「辛い経験を糧に、希望を未来へ紡いでいきたい」などと語った。
「これからの自分と福島」について発表した星槎国際高校郡山学習センターの生徒たちは「福島県産の食料を食べ、生きるエネルギーにしている。自分たちは福島で生きてきて、これからも生きていく」「関東の電気は福島でつくっていたことを意識してほしい。福島イコール放射線という偏見を持たないで」と訴えた。
発表に続いて神奈川県内の星槎中学校と星槎学園湘南校、星槎大学の生徒・学生4名を加えて意見交換が行われた。風評被害をどう感じているかとの質問に福島県の高校生は、放射線の不安から福島産の花火が打ち上げ中止になったというニュースを例に挙げて「(福島県と放射能を結びつける)情報がメディアで一度伝わると、風評被害はなかなか消えないと思う」と回答した。
震災が発生した3月11日は東海道線の運行停止で帰宅困難になったという神奈川の大学生が「家族のきずなの大切さを認識した」と話すと、参加者全員が共感。「物流が止まって食べ物が不足した時、近所の人と分け合った。助け合いの精神をしみじみ感じた」と福島の高校生は語った。
シンポジウムの最後、若者に期待することとして福島県立原町高校の八巻校長は「震災後、各地から支援を受け、今まで繋がりがなかった人たちと繋がった。人と人との新しい繋がりができやすい環境になった。これまで『難しい』『できない』と思っていたことでも力を合わせ、時間をかければ達成できると信じて頑張ってほしい」と述べた。
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