みこし団体「松龍会」の組頭 篠崎道夫さん 大磯町在住 51歳
心熱く、仲間と共に
○…「どっこい、どっこい、どっこい・・・」。威勢のいい掛け声に、足で刻む小気味良いリズム。ダイナミックに上下動するみこしを通し、人々の心を高揚させたいと思い続けている。
○…5年前から組頭を務める大磯のみこし会・松龍会は来年元日、北浜海岸で寒中みこしを行う。岸から10mほど先の兜岩を目指し、海中を突き進む。毎年恒例の行事では、「近所の方から『寒いのにありがとう』と感謝の言葉を頂くこともある。今年も町民の皆さんに活力を与えたい」。松龍会の仲間と親交団体を合わせ約100人が参加し、新年の幕開けを彩る。
○…みこしに魅せられたのは中学3年のとき。友人の父親がみこしを制作していた関係で、挑戦。「最初は肩が痛くて」と振り返る一方、「みんなと味わう一体感がたまらなかった」と虜に。やんちゃに青春時代を駆け抜け、二十歳すぎに松龍会へ。東は湯河原、西は東京・三鷹など町外20以上の団体と連携し、各地のイベントに足を運ぶ。「みこしを通じて人脈が広がった。若いメンバーにも人とつながる喜びを感じてほしい」。若手らと共に、年間の活動数は40回近くにのぼる。
○…しかし昨年、持病の心臓にメスを入れたことで、1年間はみこしに触れることすらできなかった。仲間の躍動を眺めるばかりで「つまらなかった」。今年に入って徐々に現場復帰を果たし、改めて思う。「やっぱり中で担ぐのが1番」と。主任を務める職場では部下を、松龍会では仲間を大らかにまとめるが、みこしを担げば一変。「すぐ熱くなっちゃうんで」と男気全開だ。そんな組頭も娘には弱い。携帯電話の呼び出し音は、娘が選曲した洋楽。先日訪れたショッピングモールでは、「洋服を選んでもらった」と自然と頬が緩む。
○…今後の課題は、後進の育成。「日本の良き伝統を継承していくため、まずは多くの人に見てもらいたい」。元日は、熱い気持ちで寒さを吹き飛ばす。
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