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軽便(けいべん)鉄道 100年の節目 秦野・中井を走った機関車

公開:2013年5月2日

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当時の機関車と貨車
当時の機関車と貨車

 かつて秦野市の日本専売公社(現・イオン秦野ショッピングセンター付近)から中井町を通り、東海道本線の二宮駅へ続いていた軽便鉄道「湘南軌道」。今では路線の存在自体を知らない人も多くなったが、2013年は100年の節目にあたる。

 この路線は、当時秦野の名産だった葉タバコを東海道線の二宮駅まで輸送するため1906年、旅客営業も取り扱う「湘南馬車鉄道」として地元の有志が開業したのが始まり。当初は名前通り、馬がレール上の客車を引く原始的なものだった。

 1913年に客足の増加のため動力を蒸気機関車に変更。幅の狭い軌間のレールを採用するなど一般的な鉄道より低規格な「湘南軽便鉄道」が誕生した。その後、新会社に経営を移管し「湘南軌道」の名になった。

 現在の県道72号線(秦野二宮線)の旧道が主な路線跡。約10Kmの道のりを、自転車ほどの速度で1時間程度かけ走行していたという。

 当時は小田急線の開業前。秦野・中井の住民が東京方面や小田原へ出掛ける場合、東海道線へのアクセスとしても湘南軌道は大きな役割を担っていた。

 1927年に小田急線が開業。秦野と二宮を結ぶバス路線も登場したことから客足は激減し1937年、営業を終えた。

 現在、当時を偲ぶものはほとんど残っていない。唯一の大きな遺構は当時の本社社屋で、二宮駅北口近くで薬局として使用されている。1980年頃までは秦野市の水無川を渡っていた橋脚の一部が残っていたものの、河川の改修工事により現在は撤去されている。

 秦野市史資料室は「秦野市、中井町にはほぼ何も残っていないと思う。線路のレールは太平洋戦争の金属供出などで無くなったのではないか」と話す。

 2005〜6年にかけて沿線の1市2町は、かつての駅跡8カ所に石碑の解説文を建てた。当時の上井ノ口駅近くに住む男性は「石碑が出来るまで湘南軌道の存在を知らなかった。この道に鉄道が走っていたなんて信じられない」と話す。同市史資料室も「沿線の住民でも認知していない人が多い」と話した。

 なお秦野市の南公民館では5月30日(木)まで、100年の節目を記念して「写真で見る軽便鉄道」を開催している。午前8時30分から午後5時までで、入場無料。

 問い合わせは秦野市市史資料室【電話】0463・83・8380へ。
 

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