陶芸家として大磯で個展を開催する 望月 薫さん 大磯町国府新宿在住 40歳
シンプルに 力強く
○…12月13日から大磯のギャラリーさざれ石で開催される個展では、食器を中心に約100点を出品する。東京など各地で個展を開催し、グループ展にも多数参加しているが、毎回テーマは決めず、いつでも自分らしい作品を見てもらうという。「シンプルで力強い造形。これにこだわっています」と気持ちよく言い切る。二宮町に工房を構えて10年。土の種類やデザインの研究に約2年を費やした自慢の鍋は、言葉の通りスタイリッシュで存在感あるデザイン。浅めに設計した鍋もあり、「ホットプレートのように使って、目玉焼きをアツアツで食卓に出したりしても良いかも」と、実用性も忘れない。
○…高校生の頃は音楽に夢中だった。大学卒業後、一度はミュージシャンとしての道を選ぶ。CDを出し、ライブツアーも開催。一見順風満帆だが、自分たちの「作りたい音楽」とレコード会社が求める「売れる音楽」の狭間で葛藤を抱える日々が続いた。売るために曲を変えることは「魂を売るような感じ」と、自身の進むべき道を見つめ直し、大学でも学んだ陶器の世界に飛び込んだ。
○…陶芸家となるべく修行の地に選んだのは岐阜県多治見市。桃山時代から続く伝統技法と最新の技術が交差する「陶器の最先端」だ。ギターを爪弾いた指先で、今度は土に思いを込める。表現する方法が「音」から「土」に変わっても、創造する楽しさは変わらない。心機一転で学んだ2年間の生活は「すっかり焼物マニアになっちゃいましたよ」と自身を大きく変えた。
○…現代彫刻家の父と造形作家の母、木工作家の弟に自身の夫人は磁器の染付職人と、家族は皆が芸術家。過去には家族で展覧会を開催したこともある。仕事では近年、茶器のオーダーが増えている。茶道の茶碗は一点ものが多く、より大胆な作品を作れる魅力があるという。新たな刺激を原動力に、若き創造意欲はさらに強く燃えあがる。
|
|
|
|
|
|
3月29日