9月25日にJA湘南大型農産物直売所「あさつゆ広場」などで新米の販売が開始された。今年は夏の暑さで生育が早いことが心配されていたが、9月の冷え込みで無事例年通りの収穫時期、上々の出来となった。2月に全国で初めて神奈川県が奨励品種に決定した新たな水稲「はるみ」も正式に販売開始となり、秋の実りに多くの消費者の関心を集めている。
大磯町と平塚市の農家が生産する米は「湘南そだち米」としてJA直売所などで販売されている。水稲栽培に適した水はけの良い平野が広がるこの地域では古くから稲作が行われており、昨年の収穫量は2850tと、生産量は関東有数。県内全体の約18%、第1位の生産量を誇っている。
湘南そだち米は学校給食米としても流通しており、化学農薬の使用量を減らすため、種子を湯に浸すことで消毒する温湯種子消毒処理などを実施し、安全・安心面を強化している。
様々な改良品種の中から、今後の生産性が見込めるとして平成20年度に神奈川県で試験栽培が開始されたのが「はるみ」。コシヒカリとキヌヒカリをかけ合わせて生まれた品種で、それぞれの良点を受け継いでいる。味はキヌヒカリの甘みとツヤ、コシヒカリの粘りを併せ持ち、栽培面も、草丈が低いため倒伏しにくく、長雨でも品質が低下しにくい特徴を持つ。平成22年度に出願品種公表されて以降は、神奈川県のほか、茨城県や滋賀県などでも導入が進んでいる。
早くから試験栽培に協力していたJA湘南では、「キヌヒカリ」に代わる主力品種として「はるみ」に期待を寄せている。今年度のはるみの種子購入者は53戸。中学校での栽培など、自家消費用などを除き、昨年の10倍の510kgが収穫予定だという。
同組合から依頼を受け、はるみ栽培に携わった小川正夫さんは、黄金色に光る畑を前に「キヌヒカリと変わらず育て方にも癖がない。丈が低く、穂も倒れにくい気がする。自分の周りでも、来年は(キヌヒカリから)切り替えたいという声も多い」と笑顔を見せた。
現段階の課題は、知名度の低さ。同組合では昨年の試験栽培時に販売したはるみがすぐに売り切れたことから「期待値は高い」と見込んでおり、直売所での試食会やはるみを使った加工食品の販売などを通じ多くの人に浸透させていきたい考えだという。
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