音楽ホール「チェチリア工房」で様々なコンサートを企画する 長岡 和子さん 大磯町大磯在住
広がる地域交流のリズム
○…パチパチと薪が音を立て、揺らめく炎が室内をじんわりと暖める。フロアの薪ストーブが印象的な音楽ホール「チェチリア工房」で、様々なジャンルの音楽家を招き月2回ほどのコンサートを開く。「遠くまで足を運ばなくても、すぐ近くに上質な音楽に触れられる場所があれば生活にハリが出ると思って」。キリスト教において音楽の守護聖人とされる「セシリア」のイタリア読みから名づけた工房は、自慢の交流空間だ。
○…県内の公立高校で音楽教師の道を勤め上げ、「生徒に音楽の楽しみ方を教える道案内係みたいなもの」と芸術の機微に触れる大切さを伝えた。音楽専攻がある弥栄高校(相模原市)から異動した大磯高校では、弥栄高での指導法を実践。長年の教員生活から「音楽は他の科目と比べ軽視されがち」という思いが刷り込まれていたが、生き生きと授業に取り組む大磯高生の姿に「専門的な内容でも、教え方によってはうまくいく。子どもたちがやってみたいと思えるような授業を行うことが大切なんだ」という教訓を得た。
○…2年前に設立した工房のステージに立つのは、音楽生活で縁を深めたアーティスト。若手演奏家の出演時は一際熱が入るといい、「力があっても、様々な事情で音楽を続けられない子は多い。演奏機会を提供することで、少しでも応援できれば」と厚情をにじませる。時にはフォルクローレや三線、ハワイアンを演奏する夫が出演することもあり、音楽のリズムが夫婦円満を取り持つ。
○…昨年、工房がより地域に浸透すればと願い発声ワークショップ「うたのわ」を始めた。声を出すことでストレス発散や健康維持。主婦や高齢者など、普段音楽に接する機会がない人も「学校の生徒以上に元気がいいの」と驚くほど、賑やかな声を響かせる。今後は他の芸術分野とコラボレーションを重ね、「耳と目」で楽しむ音楽の形を提供していく。
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3月29日