県立伊勢原高校の女子バレーボール部が、21年ぶり16度目のインターハイに臨む。2015年には全日本バレーボール高校選手権大会(春高バレー)に18年ぶりに出場。「古豪復活」ののろしを上げるチームを主将として引っ張るのは、中井ジュニア出身の北村果穂さん(3年)=二宮町山西=だ。
「神奈川制覇」「下剋上」――。むせ返るような暑さが体育館を包むなか、壁に掲げられた手書きのメッセージの下で熱気溢れる練習が続く。38人という大所帯をまとめる北村さんも、サーブやブロックなど一つ一つのメニューに真剣なまなざしで取り組む。
「まずは県制覇が目標だったので、悔しさもありました」。インターハイ出場がかかった6月の県予選。ベスト4進出校で戦う決勝リーグは大和南に敗れ準優勝に終わったが、県代表の2校の座を射止めた。目指すのは、1988年に同部が打ち立てた全国ベスト8の最高成績だ。
北村さんがバレーを始めたのは小学2年生のとき。強豪で知られる中井町のスポーツ少年団クラブ「中井ジュニア」に、2歳上の姉・かすみさんと加入。全国出場経験を持つ上級生への憧れをモチベーションにして、バレーの技術を磨いた。「思うようなプレーができないとき、今でも中井ジュニアでの経験を思い出します」。かつての「中井魂」を忘れることなく、インターハイでは高校3年間の集大成をぶつける。
姉を追うように進学した伊勢原高校の女子バレー部では、中学時代に満足な練習環境に身を置けなかったせいか思うように芽が出なかった。転機は1年生のときの春高予選。けがでレギュラーの座を失った姉のポジションを、同級生ライバルとの争いの末に勝ち取った。中坂(なかばん)慎次郎監督は「めきめきと頭角を現し始めたのがその頃。代役は彼女しかいないと思った」と振り返る。
高校2年の11月、引退する3年生に代わって主将を任された。北村さんは「自由に意見を言い合える雰囲気を作ろう」と、学年やレギュラー、控えの隔てなく積極的にコミュニケーションを図ってきた。プレー面でも、チームの精神的支柱として存在感を示す。「安定感があって苦しい所をカバーできる選手。人の気持ちを大切にする真面目な性格の持ち主で、チームにとって欠かせない存在に成長してくれた」と、中坂監督も信頼を寄せる。
女子バレー部のトレードマークとなっているお揃いの真っ赤なスポーツバッグを背負っていると、地域住民から励ましの声援をもらうことも増えた。「こんなに多くの人が注目してくれているんだということを自覚して、期待に恥じないプレーを見せたい」。インターハイ初戦は29日の高松南(香川)戦。激戦の県予選を勝ち上がった全員バレーで、一戦必勝を期す。
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