晩年を過ごした大磯で71年の生涯を閉じた文豪・島崎藤村の遺徳を偲ぶ「藤村忌」が、命日の8月22日に大磯町の地福寺で催された。没後76年目の今年も町内外から約60人の関係者やファンが参列して、故人の冥福を祈った。
藤村と静子夫人の墓碑は、藤村が好んだ梅の木々が大きく枝を広げる地福寺の境内に並んで建立されている。式典は櫻井智定住職による回向で始まり、中崎久雄町長や高橋英俊大磯町議会議長、一般参列者らが墓前に花や線香を供えて手を合わせた。櫻井住職は「皆さんの思いが伝わることが回向となる。大勢の方にご参列を頂き、藤村居士も喜んでいると思います」と語った。藤村忌を主催する大磯町観光協会の大倉祥子会長は「この後、ぜひ旧島崎藤村邸にも立ち寄って『涼しい風』を感じてきてください」と藤村最期の言葉を引用してあいさつした。
式典後には藤村が一期生で卒業した明治学院の同窓会メンバー約20人が、墓前で藤村作詞の校歌を斉唱した。同窓会の竹越浩一会長は「藤村との関わりをきっかけに多くの方が大磯を訪れ、町の発展につながってくれれば嬉しい」と話した。
また近年は、ゲームなどを通じて歴史的な偉人が再度脚光を浴びるトレンドがある。藤村忌にも若い女性ファンらが訪れ「作品が史実とリンクしている所や、悩み苦しみながらも自分の生き様を貫いた所が格好いいと思います」と藤村と藤村文学の魅力を語った。
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