大磯・二宮・中井版 掲載号:2019年10月11日号 エリアトップへ

再生棚田に実りの秋 二宮の有志 吾妻山麓に沢も復元

経済

掲載号:2019年10月11日号

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再生した棚田で稲刈りをする「二宮農園」の有志たち
再生した棚田で稲刈りをする「二宮農園」の有志たち

 相模湾と真鶴半島を望むことができる、二宮町の吾妻山の麓。農業に関心のある有志グループが耕作放棄地に棚田を再生し、米を収穫した。山から流れる水を田んぼに取り入れるために沢も掘り、かつて行われていた里山での稲作を復活させた。

 棚田と沢の再生に取り組んだのは、環境に配慮した自然農法で畑づくりから農業を実践している「二宮農園」のメンバー有志。「農ある暮らしを広める会」代表で農業指導にあたっている二見幸夫さんを中心に、今年から吾妻山山麓で米作りにも着手した。

 グループは2月、山の岩盤から湧き出る水を棚田に利用できるよう、長さ100mほどの小さな沢をつくった。専門家のアドバイスを得て、倒木を片付けながら移植ごてで土を削ったという。「昔の人が普請した沢の跡もある。こちらは岩を削ったり、石を積んだりして造ったことが分かる」と二見さん。

 棚田づくりには地元の学生らも協力。長い間、耕作放棄地になっていた土地を耕す作業は「ユンボがスタックするほど」(二見さん)苦労したが、4枚の水田を整備して6月に田植えを行った。

自給自足の農業

 10月6日に稲刈りがあり、10人が参加。トンボが飛び交うなか、手作業で稲を刈り取り、天日に干す「はさ掛け」をした。収穫米は、神奈川県の奨励品種の「はるみ」とササニシキの親にあたる「ササシグレ」。女性参加者は「これは種になる」と、穂先に丸々とした籾を付けた稲を嬉しそうに手に取った。

 雨水を豊富に蓄える吾妻山は薪山として利用され、肥料になる落ち葉と燃料の供給源だったという。高度経済成長を迎えた時代とともに、薪は必要とされなくなり、人の手が入らなくなった山は荒廃。田んぼをする人もいなくなった。

 「稼ぎとしての農業は難しくても、暮らしの一部として自分で食べる米や野菜を作ることはできる。食の安全・安心や災害などいざという時の食糧の備え、海と山の生態の好循環にも役立つ」と二見さんは話す。子どもたちが探検遊びができるようにさらに沢を整備していくことも考えている。

沢筋に立つ二見さん
沢筋に立つ二見さん

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