あこがれの洋館でパーティーを――。大磯町で成人式の後に、新成人の有志で開かれているアフターパーティーがある。会場は大正元年(1912年)建築の大磯迎賓舘(旧木下家別邸)。歴史ある洋館で3年前から開かれてきたこの宴に、かつて新成人として出席する側だった2人が、レストランのスタッフとして今年の「後輩」たちをもてなした。
今年のパーティーには国府地区の新成人から約70人が参加。地元食材を使った料理を味わいながら、カリム優さんら5人の幹事が企画したビデオレターやビンゴゲームなどを楽しんだ。このパーティーを陰から支えたのが、同舘でアルバイトをする調理スタッフの小野寛太さん(23)とホールスタッフの西尾純名さん(20)。小野さんは3年前、西尾さんは昨年このパーティーに参加していた。小野さんはホテルでの調理経験を生かして薪窯を使った本格的なナポリピッツァを提供、西尾さんは抱えるような大きさのチーズを削るラスパドゥーラのパフォーマンスやドリンクのサーブなどを担当した。成人を迎えた妹がパーティーに参加している小野さんは「全員が満足できるような料理を提供したい」、西尾さんは「自分たちが良くしてもらったように、新成人を楽しませてあげたい」と心をこめて新成人をもてなした。
新成人企画の宴
国の有形文化財に登録され、現在はレストランとして営業している同舘は、大磯で育った成人たちにとって「大人の香り」がするあこがれの場。一方で格式の高いイメージから、利用に二の足を踏むような存在でもあった。3年前、大磯プリンスホテルの改装に伴い国府小学校の体育館で成人式を迎えた新成人が、二次会を開けないかと同舘に相談したことがパーティーのきっかけとなった。予算の問題もあったが「地元で育った子どもたちの希望に応えたい」という同舘の思いに契約農家も賛同し、料理で使用する野菜を無料提供するなど協力したことで解決。大正モダンを感じる建物の雰囲気に合わせ男性はスーツ、女性はドレスという優雅なパーティーが開かれるようになった。同舘では「新成人たちが自ら企画して続いている心温まる宴。陰ながら支えていきたい」と話している。
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