確定申告のシーズンを迎えた平塚税務署の署長を務める 武田 満明さん 小田原市在住 60歳
「菩薩」貫く税のプロ
○…「一読して難解、二読して誤解、三読して曲解」といわれる税法。納税は国民の義務であり、消費税をはじめ税は身近な存在であるものの、庶民にとっては専門性が高く「よく分からない」という人も少なくないだろう。確定申告期を迎えた平塚税務署のトップとして「来署された方々への説明責任」を職員に徹底している。税は国の在り方を決める大切な社会経費という考えのもと「菩薩のごとく懇切丁寧な対応を貫く義務がきっと私たちにはある」と強調する。
○…小田原市に生まれ高校までを地元で過ごした。大学卒業後、東京国税局へ。一つの組織に長く勤めるのが当たり前とされた時代。「国家財政の基盤を担い、社会正義に尽くそう」と考えての選択だった。都内・県下の税務署はもとより、映画『マルサの女』でも描かれた査察部や税務大学校の教授など「周囲より早い転勤サイクルで色々な経験をさせていただいた」と振り返る。
○…昨年7月、第74代の平塚税務署長に就任した。年齢も60歳を迎え、キャリアの締めくくりに次世代へ思いを馳せる時間も増えた。一律の公正・公平な執行が求められる国税局には組織力の向上が日々求められるといい「これからの世代には自己研鑽と挑戦、誇りと使命感を胸に進んでいってほしい」と父親目線でエールを送る。
○…定年後に独立したり、再任用の道を選ぶ人もいるが「いったんリセットしたい」とぽつり。激務に追われた半生を経て数年前、故郷の小田原に戻った。自然や歴史に囲まれながらの家庭生活にはどこか穏やかな時間が流れる。「いつか落ち着いたら平塚や伊勢原の史跡を案内してあげたい」。今まで支えてくれた愛妻への恩返しもこれからの大きな仕事だ。
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