これまでの人生をふりかえり、二宮町に住む神奈川大学名誉教授の松岡紀雄(としお)さん(81)が「自分勝手な記憶で綴るスライド自叙伝 松岡紀雄―80年の歩み」を作成した。動画共有サイトYouTubeで公開している。「こんな自分史もあったのか」「自分たちも作ってみたい」などと反響が届いたという。
松岡さんは松下電器産業(現パナソニック)へ入社後、「経営の神様」と呼ばれた松下幸之助さんと出会い、薫陶を受けた。国際PHP研究所代表取締役を務め、神奈川大学経営学部創設にも関わった。自叙伝は、写真をメインに説明文を添えた471枚のスライドで構成。ナレーションも入れた。動画は4時間24分。どこからでも視聴できるよう、目次代わりの見出しと時間を示した。
36年のパソコン歴が動画制作を可能にした。多量の写真をスキャナーで取り込み、パソコンで整理。「自分勝手な記憶」とあるが、手帳と年表に残していたこまめな記録は、記憶と事実を合わせるのに役立った。
「お世話になった人たちへ感謝の気持ちを伝えたい」。それが動画づくりのきっかけ。自分の葬儀で会葬者に見てもらおうと、2年前に約100枚のスライドをまとめていた。ところが、新型コロナウイルスの余波で、身内だけで葬儀をする傾向が一層顕著に。「ならば生きている間に動画を公開しよう」と切り替えた。緑内障を患い、視力の低下を感じながら「これが最後の作業。目が見えるうちに」との思いで大作に仕上げ直した。
動画公開後は「50年ぶりに大学の先輩などから電話や手紙をいただき、うれしい出来ごとでした」と松岡さん。「私の人生は周囲の人から求められたり、誘われたりして偶然の出会いによって歩んできたのだと、人生の不思議をつくづく感じる」と話す。
公式チャンネルでは、松岡さんが神大退職時に行った最終講義「松下幸之助から学びていま思う日本の行く末」も公開。
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