大磯町で700年余りの歴史を持つ「高来神社夏季例大祭 御船祭」が、7月15日(日)に催される。町内13基の神輿が集う勇壮な渡御に加えて、今年は華やかな船形の山車(まつりぶね)が巡行する2年に一度の年にあたる。
御船祭は、照ヶ崎海岸にまつわる大磯の伝説に由来する。その昔、蛸江之丞という大磯浦の漁師が海中から光り輝くタコを見つけて船に引き上げると、タコは千手観音像に姿を変えた。蛸江之丞は像を高麗寺(現在の高来神社)に奉納し、千手観音が引き上げられた場所は照ヶ崎と呼ばれるようになったという。
古くは漁師の祭として船で花水川を遡り、同神社の御霊を神輿に乗せて海上から照ヶ崎海岸まで向かう海上渡御を行っていた。後に同神社の神輿を先頭に各町の神輿が練り歩く陸上渡御に代わり、偶数年のみ水引や幟などで華やかに飾り立てた2艘の船形山車「明神丸」が登場するようになった。祭は1972年に町指定無形民俗文化財に指定されている。
木遣・御船唄に注目
神輿は午前6時に神社を出発。高麗・山王町・神明町・北下町・南下町・さざれ石四ツ角を巡行し、10時55分頃に照ヶ崎海岸で浜降りを行った後、式典会場(大磯港県営駐車場)へ向かう。正午からの式典では神事や浦安の舞などが奉納され、午後1時に神輿巡行を再開。宮入りは午後8時20分頃を予定。
船形山車は午前6時45分頃から午後3時まで北下町と南下町の間で曳かれ、千手観音や高麗人渡来の説話を伝える木遣や御船唄が披露される。大磯御船祭保存会(加藤孝会長)の福田良昭さん(58)は木遣師の一人。今年は南下町に伝わる木遣「天下泰平」を4年ぶりに披露するほか、明治から歌われなくなった「和泉式部」を150年ぶりに復活させる。「木遣は口伝が基本のため、歌える人がいなくなってしまったものもある。歌詞は地域にまつわる内容が多く、調べるほどに深く面白い。少しずつでも復活させて大切に歌い継いでいきたい」と思いを語る。
祭前夜の14日(土)には午後6時30分からJR大磯駅前で宵宮があり、南本町・北本町・神明町・茶屋町の神輿4基が集まる。
式典会場は大磯駅から徒歩約10分。周辺道路では交通規制が敷かれる。問い合わせは大磯町観光協会【電話】0463・61・3300へ。
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