栃木県の日光東照宮で7月2日、全国の芸術家から奉納された美術品を日光市内の小中学校や公共施設などに貸与する記念式典が催された。大磯町からは、書道作品『ともに生きる』を奉納した書道家の櫻井律好さん(83)が出席した。
今回貸与されることになった作品は、日光東照宮と一般社団法人世界芸術文化交流会が昨年開いた美術展覧会に出品され、奉納された書や絵画、工芸など109点。すべての作品に「平和希求の祈り」が込められており、同宮では優れた美術品を貸与することで地域の美術振興や教育などに役立つ社会貢献を目的としている。貸与期間は「永代」と無期限で、同市内の小中学校や図書館、文化会館、老人ホームなどの福祉施設などに展示される。
櫻井さんの作品『ともに生きる』は「老若男女、誰でも読むことができて、書の教育につながるものを」と書かれたもので、書道専門誌の元編集長や大学教授らの推薦で貸与作品のひとつに選ばれた。
式典は日光東照宮の客殿で開かれ、禰宜による経緯説明や世界芸術文化交流会の赤尾信敏最高顧問らの祝辞の後、神職と出席した美術家から公共施設の代表者らに作品が貸与された。櫻井さんは日光市立中宮祠小学校の校長に「ご縁ができて嬉しいです。いつか小学校をお訪ねして、皆さんとお話できれば」と作品を手渡した。
継続の力
櫻井さんは福井県出身。学生の頃から書道が好きで、恩師の計らいで高校を卒業後に上京し、現代書を確立して世界に広め「昭和の三筆」と言われた書家・手島右卿(1901〜87)の内弟子となって書を学んだ。会社勤めなどを経て、同門の夫・密嚴さん(現・地福寺名誉住職)と結婚し大磯へ。子育てをしながら書の稽古を続け、現在に至るまで国内の書道展へ作品を出品し続けている。「何があっても書を続けなさい、という師匠の言いつけを守っているだけですよ」と謙虚に微笑む。
奉納作品『ともに生きる』について櫻井さんは「小さくは家族、大きくは町、日本、世界とともに私たちは生きている。作品を見た一人ひとりがそれぞれに思いを巡らせ、その人なりの解釈で感じ取ってもらえれば」と話している。
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