小田原城 木造再建へ一歩 市民団体が「もの見やぐら」づくり
小田原のシンボル「小田原城」を木造で再建したい―。そんな大きな夢を掲げた市民グループ「小田原城木造普請の会」が活動を開始した。同会が手始めに取り組んだのは「もの見やぐら」づくり。8月28日に市内久野(和留沢)の荒地再生プロジェクトの土地の一角で建築中のやぐらがお披露目された。
市制20周年の記念事業として1960年に鉄筋コンクリート造で建てられた現在の小田原城天守閣。築51年が経過し老朽化が進むため、平成27年度までに耐震改修する施設として位置づけられている。
そんな中、天守閣の木造化を目指す市民グループ「小田原城木造普請の会」が発足した。共同代表には鈴木博晶氏(株式会社鈴廣代表取締役)、高橋台一氏(株式会社菜の花代表取締役)、古川孝昭氏(有限会社魚國商店代表取締役)が名を連ねる。
同会は、観光名所としての経済効果、伝統工法の継承、歴史教育、市民参加、森林保護などを目標に掲げ、「本物の木造天守閣」の具体化へ活動を展開するという。
「もの見やぐら」づくりは、木組みでつくる伝統工法を身近に感じてもらおうと企画されたもの。荒地を開墾する際に伐採したヒノキとスギを有効利用し、伝統技能を継承する職人たちが釘を一本も使わず組み上げている。
あいさつに立った鈴木代表は「ただ木造で再建するのではない。森と海をつなぐ自然の循環の象徴。10年プロジェクトで取り組みたい。一生懸命やらせていただきます」と意気込みを語った。現場を訪れた加藤憲一市長は「一市民としては、本物に建て替えたい。困難を一緒に乗り越えたい」と期待を寄せた。同会は今後、シンポジウムの開催を予定している。
また、市は天守閣の木造再建の可能性も含めた耐震改修の第1回検討委員会を8月30日に開いた。
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