3月に朝市サミットを行う青物町商店会の会長を務める 原 陽一さん 市内浜町在住 62歳
賑わう通りに思い馳せる
○…「やりましょう」。地元青物町商店街の活性化になれば、との思いで手を上げた。3月に小田原で初開催となる「かながわ朝市サミット」を主催者の一人として取り仕切る。第2回の平塚で3万人を動員しており、期待が大きいがその分、プレッシャーもかかる。目標は150mの商店街に80〜100店舗の出店、動員は1万人。商店街の若い役員たちの動きに喜びつつ「活性化の起爆剤になれば」と目を細める。父親のような、兄貴のような優しい笑顔が印象深く映った。
○…父は本町の老舗中の老舗「だるま料理店」の板前だった。小学校に上がるまで、現在の別館の場所に家を構えてもらい住んでいたという。「よく店内で遊んでいました」と当時を振り返る。その後「暖簾わけ」で独立、浜町に店を構えた。現在の店内に飾られた歴史のある看板には「だるま支店千両すし」の文字が刻まれている。
○…仕事熱心な父の背中を見ていて「店を継ぐのは当たり前」と思っていた。大学卒業後、すぐに店に入る。時代はまさに高度経済成長の真っ只中。日本中が活気にあふれ、小田原も例外ではなかった。出前から帰ると「自転車では通れない」ほど人が通りにあふれていたという。当時は板前を4人も抱えていたそうだ。そんな若造時分に、父より「怖かった」のが当時の板長さん。徹底的に仕込まれた。この板長さんが現在の寿司商組合の組合長。実は「今でも頭が上がらない」そうだ。
○…ジャズが心地よく流れる店内。2年前には内装もリニューアルし、おしゃれで落ちついた雰囲気が漂う。代替わりに向けての準備かと思いきや「娘しかいないので」とポツリ。最盛期には120店もあった寿司店もいまや20余店を数えるのみ。「(店を)残したい気持ちと(これからは)大変」と言う現状が頭をよぎる。世の父親としては共通の悩ましい問題に、笑顔が少しゆがんだ。
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