市長インタビュー 元旦号からの続き 地域への発信拠点に―芸術文化創造C
――再開発地区の広域交流施設ゾーン(再開発地区の駅寄り側)は、駐車場棟完成後に、建設が進みますか。
「広域交流施設ゾーンは、様々な事業者の提案を担当者が聞いています。お城通り沿いの権利関係も整理され、駐車場もできることで、事業者からの評価も高いです。残った空間の利活用について、民間の視点から様々な提案をいただいています。できれば2014年度には事業者の公募ができるよう、現在準備作業に取り組んでいます。2017年度に、広域交流施設ゾーンにも一定の事業が立ち上がっていくスケジュール感で進めたいと思っています。
ここには駅周辺にあると便利だが、今までに無かったようなものを集約したいと思っています。老朽化が著しい市立図書館の貸出機能、市民会館の小ホールや会議室が果たしていたようなコンベンション機能、子育て支援につながるような公共的機能などを配置できれば、と考えています。
民間の事業の機能としては、駅周辺に不足している一定の格を持った都市ホテル。他には商業、金融などがテナントとして見込まれます。そんなイメージを民間の皆さんと意見交換しながら、事業者の公募という経過を経て、民間の事業者に託しつつ、公共施設については、賃借または取得していくということになると思います」
――芸術文化創造センター(新ホール)建設に伴い、今の市民会館で活動していた人たちの受け皿ということではない?
「芸術文化創造センターは、今の市民会館とは違ったミッションを背負っていますし、これまで以上に発信力の強い、創造力の強い人たちの集まる、芸術文化を生み、育てていく場所になってくると思います。地下街と同じように来場者をまち中に出していく機能も持たせていきます。
今年4月以降、実施設計の作業が進み、2015年度には建設に着手するなど具体の局面を迎えます。新しいセンターの機能に関しては、市民委員会はもとより文化団体などからも様々な要望が出ています。ただ、すべてを盛り込むのは建設資材の高騰や消費税の増税なども予定されていることから、総コストのかさ上げが予想されます。そのため、立ち上げの際に本当に必要な機能は何か、センターに求めているものは何かをきちんと判断し、取捨選択するような局面もでてくると思います。
一方でセンターはハード(建物)が完成することだけでなく、センターで展開するソフトを通じて市民の皆さんの文化活動が活発化しないと成功はありません。そのため、文化の新たな担い手づくりなどソフト事業の準備を進めており、かなり充実した取り組みになりつつあります。
またセンターは、芝居や音楽など作品や活動が、建物の中だけで完結するのではなく、地域全体に押し広げていくための拠点にならないと意味がありません。先進事例の高円寺や横浜、川崎などまち全体に文化活動があふれている状況を作るためにセンターが機能する、そういう状況を創るための準備をしています」
――4月におだわら総合医療福祉会館が開館します。小田原市のかかわり方は?
「小田原医師会が運営していた看護専門学校は老朽化が激しく、良い施設を早く、と願っていました。建物には医師会の事務局や久野の高等看護専門学校が移転してきますが、市が1階部分と4階部分の一部を買い取り、現在城山にある社会福祉センターの城山乳児園および入浴施設以外の機能を移転させます。
医師会と市が同じ建物の中でそれぞれの役割を果たし、地域の医療と福祉に貢献していく体制が整うことになります。
4月以降、城山の社会福祉センターは、早期に取り壊し、その後の活用等については並行して検討していきます」
――2014年5月を過ぎると、市長の2期目の任期も後半に入っていきますが、今年の市政について抱負を。
「2期目に臨み『新しい小田原』への第2ステージを目指そう、ということで具体的な取り組みを掲げました。また、小田原市の総合計画も3月で第1四半期が終わり第2四半期に入ります。その中で進めてきた事業はほぼ実現に向けたスケジュールに乗ってきています。
これまで進めてきたものは確実に仕上げ、成果の見えにくいものは成果にし、出来上がったものについてはより完成度を高めていく、といった具合にそれぞれの事業の進捗状況に応じてかじ取りを行っていきます。
一方で小田原市も2013年度から4人に1人が65歳以上という状態まで高齢化が進んできましたので、これまで進めてきた地域コミュニティ単位で支えあって暮らしていける地域づくりに、より一層取り組んでいきたいと考えています。
おかげさまで26ある連合自治会のうち14の地区で地域コミュニティ組織が立ち上がってきています。他にもケアタウンやスクールコミュニティなどの取り組みを拡大したり充実させたりしながら、地域コミュニティに根差したまちづくりを推進していきます。
また再生可能エネルギーについて、今年は推進のための条例の制定に向けた具体化の動きを進めたいと考えています。
何と言っても3大案件はいよいよ具体化の局面に入っていくので確実に形にして、禍根を残さないように仕上げていきたいと思います。
3大案件に道筋がつけば、財政負担は後年度に多少残りますが、あとは市民生活の安心安全の確保や地域コミュニティの確立、地域経済活性化といった地域として大事な部分の作りこみに専念できると思います」
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