喜ぶ顔が見たくて 須藤 光子さん 71歳
週4日、1日6時間の勤務中、息つく暇はない。
シニア世代を企業へ紹介する、小田原シルバー人材センターの登録会員。現在は、市内穴部の高齢者総合福祉施設「潤生園」へ派遣され、清掃スタッフとして働いている。現場では、廊下、居室、食堂と移動し、館内を次々とキレイにしていく。「建物が広くて。テキパキやらないと終わらないの」と労を口にするが、表情には充実感が滲み出る。
60歳までは事務職などで働き、清掃経験はゼロ。人材センターに仕事を紹介され、「詳しい内容もよくわからず」足を踏み入れた。
想像以上に体力を要す職場は、命の尊さを実感する場でもあった。施設では、お年寄りと話す機会も多い。しかし、その相手が体調を崩し、再び顔を合わせることがなくなってしまうこともある。「送る悲しさに接する。だからこそ、元気な間は気持ちよく過ごしてもらいたい」。入居者からの「きれいにしてくれてありがとう」という言葉が、心からうれしい。
休みの日は、幼い頃からの趣味、手芸を楽しむ。「コツコツやるのが得意」と語り、ひざ掛けを入居者へプレゼントすることも。「これからも編み物をさしあげたい」と微笑んだ。
潤生園に勤め12年。人生の先輩たちに接するからこそ、「まだまだ私もがんばんなきゃ」と力が湧いてくる。