9月15日に小田原市民会館でライブを行うジャズピアニスト 大野 雄二さん 城山中学出身 73歳
ジャズ少年 小田原に帰る
〇…かの有名な、アニメ『ルパン三世』のテーマを世に送り出し、早や40年近く。NHK『小さな旅』の、どこか懐かしさと郷愁を感じるメロディに馴染みのある人もいるだろう。数々のCM音楽制作や全国各地をまわるライブなど、今なお精力的に活動する。
〇…実は小田原でのライブは初めて。小田原市立第一中学(現・城山中学)卒業以来、実に半世紀ぶりの「里帰り」だ。ジャズに触れたのも小田原。友達に誘われて出かけた休日、耳にしたモダンジャズの調べに魅かれた。当時まだ15歳だった少年は、60年経ち、洗練されたピアノの腕を引っさげて、懐かしい地を踏む。
〇…熱海市和田浜の生まれ。旅館を営んでいた実家での遊び相手は、3人の兄弟ではなく「うちで働いていた大人たち。だからマセた子どもだったね」と渋く笑う。知らないことをたくさん教えてもらえるのが、大人と遊ぶ楽しさ。その中のジャズ好きな従業員の影響や、姉が習っていたピアノに触れているうちに…と、ジャズに親しむ環境は整っていた。先生は「レコードと自分の耳」。ラジオから流れる旋律に焦がれ、独学で腕を磨いた。大学では勉強そっちのけでジャズ三昧。高校2年からプロとして活動する仲間に刺激を受け、エキストラなどでライブに参加するうちに声がかかり、大学4年からプロの道を歩み始めた。
〇…リズミカルに会話が弾むなか、息抜きは「テレビ」、さらに「新しい芸人さんくらい知っておかなきゃ」という言葉に二度驚いた。とにかく知らないことを知るのが好き。ゆえに絶えずチャンネルを変えて、アンテナに引っかかる番組を探すのだとか。最近流行りのお笑いから往時の漫才まで、自分の目で見てきたからこそ、一家言ある。「なにごとも知らずに語るなかれ」。ウィットに満ちた言葉と、物静かだが優しい眼差しの持ち主にそう言われた気がして、思わず背筋が伸びた。
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